パッケージ・ソフトウェアの輸入販売から始まったアシストが、顧客からの要望を受けてコンサルティングを提供し始めた当初は、独立した事業部としてではなく、商品ごとに使い方を支援したりするスポット的なものだった。2004年、正式にコンサルティング室が発足し、石原洋はその室長を務める。
システム・エンジニアから始まり、データベース・エンジニアを経て、現在では主席コンサルタントとして多岐にわたりコンサルティング支援を提供している石原は、2007年に、ソーテック社より『上司や部下に小言を言う前に:デキるリーダー養成講座』という本を上梓した。ここにはコンサルティング事業を立上げた経歴から、部下の動機付けや交渉力など、日常仕事をする上で“自分を磨く”ちょっとしたコツが書かれている、いわゆるノウハウ本だ。
この本からもわかるように、熱心にチーム育成に取り組む石原が、最も強調することの1つは「コミュニケーション」。導入したソフトが期待通りに動作しないとして解約の危機にまで発展したトラブルを、客先に出向いて解決したベテラン・コンサルタントの石原に、コミュニケーションのツボを尋ねた。
「技術的な知識、経験が基本なのはもちろんだが、特にコンサルティングにおいては“コミュニケーションのとり方”は基本の基。ところが意外とそれがわかっていない」
「“コミュニケーションが大切だ”、と誰もが言う。それでいて、“コミュニケーションが悪くて・・”と言う。
なぜそうなるか。それはコミュニケーションではなく、自分の考えを相手に言う、または押し付けることがコミュニケーションだと思っているからだ」。
“コミュニケーション”は外来語であって日本語がない。辞書をひもとくと、「人間が互いに意思、感情、思考を伝達し合うこと」とあり、自分の意図や欲求、つまり、自分は何を欲しているかということを相手に伝えることと解釈できる。
例えば「マスコミ」(マスコミュニケーションの略)という言葉に象徴されるように、「伝達し合う」というよりも、「一方的な情報発信」でコミュニケーションが成り立っているとして使われている場合も多い。そればかりか、日本は「察する」「以心伝心」といった言葉が数多く見つかる国である。ここには、コミュニケーションを図ろうとしている相手が、自分と共通の価値観や考え方を持っているということが前提にある。このことからわかるように、コミュニケーションの定義は難しい。
では石原の考えるコミュニケーションのツボは何か。
それはたとえ相手を自分の意図する方向に持っていきたかったとしても、指示や命令によって誘導するのではなく、相手が誘導されたと気付かない(自分で考えたと思っている)状態で、相手を自分の意図する方向に持っていくことだと言い、それを石原は「いざなう」という言葉で表現する。
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