手仕事楽しみ隊 ~ 洋裁教室のススメ ~

2011.02.03

ライフ・ソーシャル

手仕事楽しみ隊 ~ 洋裁教室のススメ ~

喜田 真弓

会社の福利厚生の一環、または社員交流の場として社内のクラブ活動を奨励している企業は少なくない。アシストでもテニス部や野球部、華道部など、いくつかのクラブが休日や就業時間のあとに自主的に集い、練習や試合、または先生を招聘して活動に励んでいる。その中でも、変わりダネの活動といえば、家庭菜園をメインとする「農業クラブ」と、就業時間後に社内で行われている「洋裁クラブ」かもしれない。

農業クラブは『アシスト、週末農業を助成』というタイトルで昨年は日本経済新聞から取材を受けている。社長のビル・トッテンが、業績が悪化して給料が減っても社員が豊かに暮らすために、食料を例え僅かでも自分で調達することができるようにと、2006年から社内クラブとして発足した。参加表明した社員には、農地代その他として1年間に1人2万円まで会社から補助され、個人または数人のグループで家庭菜園を始めている。

少ない収入でも豊かに暮らす方法として、自分の食べる野菜を自分で作る他にトッテンが奨励するのは、「これまでお金を払って他者にやってもらっていたことを自分の手でできるようにする」こと。例えば、衣服を繕う、家の修繕、モノを買う場合は自分で修理できるものを買う、健康的な生活をすることで医療費を最小限にする、など。確かに大正、昭和生まれの両親や祖父母の時代は、今のように何でも簡単に買えなかったこともあって修理、修繕は当たり前だった。こうしてアシストの中日本支社、名古屋営業所で「洋裁クラブ」が立ち上がった。

“「手仕事楽しみ隊」メンバーの環を広げます!” - こんな謳い文句で社内SNSの中にコミュニティができたのが2009年5月。トッテンの発案を受け、前準備として名古屋営業所の伊藤登茂子らが顧客であるブラザー工業に相談すると、まずは社内アンケートをとることを勧められた。それを受けて、全社を対象に洋裁クラブへの興味などについてアンケートを実施した。

「集計の結果、91名(男性35名、女性56名)から回答があり、洋裁に興味のある人が48名、洋裁教室開催については36名が、何らかの方法で洋裁を習いたいという回答でした。また、「洋裁の基礎やリフォームに挑戦したい」という男性社員や「興味があっても洋裁に携わる時間が作れない」や「費用負担」のことなど、多数の意見が寄せられました。とにかく小規模でもまずはやってみようと、中日本地区で開始することにしたのです」と伊藤。

ミシンやアイロンを会社が用意し、活動は会議室で月に2回、就業後6時から9時。講師は資格を持つ社員の母親にお願いした。そして参加表明したのが11人。うち2人が男性社員だった。その一人、宮澤は参加動機をこう語る。

「社長からの、“家庭菜園とか大工、洋裁など今まで人にお金を払ってやってもらっていたことを自分でやるように、消費中毒を治すように…”というメッセージでしたが、ちょうどこの時、僕自身も似たような考えが自分の中にもありました。そして、今は名古屋の都心部のマンションに住んでいるので家庭菜園は難しく、でも洋裁ならできそうだし、楽しそうなので上司の高橋さんと参加してみようか、と」。

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