2007年3月、アシストは社内の標準オフィス・ツールをMicrosoft OfficeからオープンソースのOpenOffice.org*へ全面移行した。その背景と導入時の苦悩を、アシスト公開ソフトウェア推進室神谷昌直が語った。 *OpenOffice.orgはワープロや表計算などの機能を持つオープンソースの統合オフィス・ツール。Microsoft Officeと互換性があるだけでなく、無償で自由に利用することができる。
■移行予定台数700台!
アシストがOpenOffice.orgへ移行したきっかけは、ビル・トッテンが、親しくしているお客様からオープンソース、フリーソフトと呼ばれる無料のソフトがあるので調べて欲しいと言われたのが始まり。その時は、有償のソフトウェアを売っているのに無料ソフトなんてとんでもない、とトッテンは思ったが、その後別のお客様からも言われるようになると、これは調べないとまずい、ということになり、そこで調査を命じられ、社内に設置されたのが公開ソフトウェア事業推進室だ。そしてオープンソースが必須となれば、お客様のIT化を支援するために、まずはアシストの社員がオープンソースを理解し、使いこなさなければいけないというトッテンの鶴の一声で、Microsoft Officeが社員のパソコンからアンインストールされることになった。
移行予定のパソコンの台数は約700台。アシスト社内には約1,000台のパソコンがあり、うち約300台は製品サポート、営業、販売支援、共通業務用である。この300台は商売上必要だとして、残る約700台のパソコンからMicrosoft Officeをアンインストールし、OpenOffice.orgをインストールしていくこととなった。
オープンソース・ソフトウェアとは、その設計図にあたるソースコードが無償で公開され、誰でも改良や再配布が行えるようになっているソフトウェアのことである。商用のソフトウェアは自社が開発したソースコードを非公開とし、それを供与することで使用料を取るのに対して、オープンソースは基本的に無償で使うことができる。日本の地方自治体でも導入が進んでいるが、世界でも欧州などではドイツをはじめチェコ、ポーランドでシェアは20%を超す。
実はこれ以前からトッテンは、オープンソースのオフィス・ソフトであるOpenOffice.orgの社内利用を社員に促していた。この理由の1つとして、毎日利用しているオフィス・ソフトであればアシストの営業マンが実際に体験したことや利用方法をお客様に直接伝えることができる。しかし、使い慣れたMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへ率先して変えようという者は一人もいなかった。
これについてトッテンは、「たとえ自宅では無料のオープンソースを使っていても、会社は有料ソフトが当たり前、という先入観があるからだ」と言い、「仕事用のボールペンは会社が支給するけれど、ブランドの万年筆を使いたければ自分のお金で買わなければならないように、有料のオフィス・ソフトを使いたければこれからは自分で買うこと」と全社員に通達する。
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