2010年10月末、アシストは市ヶ谷本社にアマチュア無線の社団局を開設する。アシストの本業は企業向けコンピュータ・ソフトの販売および技術支援。まさにハイテクの分野であるが、アマチュア無線はどちらかといえばローテク。モバイル通信機器全盛のこのハイテクの時代に、なぜIT企業がアマチュア無線を始めるのか。アシストのアマチュア無線プロジェクトのリーダー、今田一男がその理由を語る。
■草の根無線プロジェクト
こうして今田をプロジェクト・リーダーとして今年7月、アマチュア無線『草の根無線』プロジェクトがアシスト社内で立ち上がった。
そしてこの10月に市ヶ谷オフィス内にアマチュア無線社団局を設置し、活動を開始することとなった。アマチュア無線を使うためには国家資格がなければならず、当初の有資格メンバー5名に加え、常務の大村恵子も8月に国家試験を受けて4級の免許をとった。
この小さなステップが、将来のエネルギー危機にどう役に立つかはわからないが、トッテンがよく口にする「千里の道も一歩から」の言葉通り、アシストの社内で、アマチュア無線の社団局が活動を開始する。活動の主旨は、災害などで通信インフラが不能に陥った事態に備え、まずは実際に無線機器を使用し体験できる場所を社内に設け、社員自らが機器を使えるようになることを支援する、というものだ。災害が起きた時などは社員の安否確認、または自治体などとの協力体制もとっていき、現在は市ヶ谷だけだが、同じプロジェクトを大阪や名古屋オフィスにも広げていく計画だという。
■自分ができること
先進国において人間の活動を支えているのは石油その他の天然資源だ。それはどれも有限であり、情報化時代と言われる今日、情報を管理、処理し、伝達するには物理的な媒体とエネルギーが不可欠なのだ。世界を飛び回る投機マネーも、実はコンピュータを通して数字だけが行き来している。グローバル・ネットワークという通信リンクやサーバは、物理的なインフラとエネルギーがなければ維持できない。
今の日本では、第三世界のように、電力供給が不安定になる状況は想像もつかない。しかしハイテクは高エネルギー消費と同義である。巨大サーバも、便利なインターネットも、いつか「そんな夢のような時代があった」となり、再びローテクに戻ることがないとは誰も断言できない。
先頃、アメリカのIntel社はドイツ企業の無線事業を買収したが、これでIntel製プロセッサと無線機能を組み合わせた低電力のプラットフォームの提供が可能になるという。将来的なコンピュータと無線技術の融合の可能性は大きい。これらが例えアシストの本業とは一線を画していたとしても、無線機が扱えれば、災害時など他の無線局と通信が可能となり、災害状況の伝達や安否確認など活躍の機会は多いだろう。
また、アマチュア無線は仕事を離れた社外との人脈ネットワーク作りにも繋がる。無線機を扱える人が増えれば増えるほど、そのネットワークの効果は増すはず。まだ始めたばかりの取り組みではあるが、本活動を通してアマチュア無線のネットワークが広がることを期待したいと今田は言う。
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