たまたま面白い取組みがありましたので、今週も、先週に引き続き、出版業界から、経費削減の取組みをご紹介します。講談社や小学館など大手出版社が、女性誌のサイズを統一するとの事です。今回は、こうした取組みのメリットや、その背景、障害、成功の秘訣などについて見ていきましょう。
今回の取組みについて、小学館の担当者は「寸法でなくコンテンツで競う」ことになると述べています。
うーん、何を今更という感もありますが、お客様に評価されない提供者のこだわりは無意味どころか、収益性と売上への影響という二重の意味で害悪でしかありません。まず、サプライヤのこだわりは上で見てきたように、提供コストに跳ね返ります。また、お客様に評価されないこだわりは、評価されていない故に販売時の値付けに反映できません。そうしたこだわりを勝手に価格に反映させれば、お客様は必ず「高い!」と感じます。お客様が値段以上の価値を感じなければ、当然、売れ行きも伸びません。
今回の出版大手各社の用紙サイズの統一は、各社のメンツもあり、部外者から見れば当然ですが、ここに至るまでには相当の紆余曲折があった事でしょう。
それでも、各社がそのメンツを捨てられたのは、出版業界では、有力誌の休刊が相次ぐなど、相当の苦境に追い込まれているからでしょう。出版科学研究所によると、09年の雑誌の販売金額は1兆864億円で、97年のピークから31%減少、部数は、ピークの95年と比し4割強減っています。
初めから、ミリ単位のサイズ競争などでなく、コンテンツの中身で競争していれば、こうはならなかったでしょう。各出版社は、競争が激化する中で、競争の軸を見間違えてしまったのでしょうか。
我われ商品・サービスの提供者は、自分のこだわりでなく、お客様の価値に徹底的に拘る必要があります。それは、コスト削減の一つの近道でもあります。
※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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