コペンハーゲンで開かれていた第15回国連気候変動枠組み条約会議(COP15)は、案の定、成果をもたらしませんでした。このような状況下で大切なのは、政治を批判する事ではなく、企業人として我われが何をすべきかです。本稿では、それについて考えます。
温暖化ガスと地球温暖化の科学的因果関係が定かでない中では、個人的には温暖化ガスの削減一辺倒に賭けるのではなく、より根源的な対策である省資源、省エネルギーに努めるべきと考えます。
残念ながら、世の中は良いものであれば売れるという世界ではありません。これらの技術型の商品は、de jure standard(法定標準)やde facto standard(事実上の標準)を取る必要があります。そのためには、行政の力も借りたい所ですが、成功した事業で行政の力によるものは少ないのではないのでしょうか。事業が成功するには、ぎりぎりの所で考え抜かなければよいものが生まれず、行政からの援助は、結局は殆どが中途半端なものの延命に終わってしまいます。
COP15は政治がグローバルな問題解決にあまり力がない事を明らかにしてくれました。我われ企業人は、あてにならない政治を頼るのではなく、自らの力で、あるべき環境経営のルールを定めていくのが最善の策であると、今回のCOP15の迷走は教えてくれているのではないでしょうか。
最後に、こうした方向に進みにあたり、政治への要望を伝えます。政治の力に頼るつもりはありませんが、国というムラ社会の論理に基づく彼/彼女らの行動は、ヒト、モノ、情報、カネの最適な流れの妨げになり、足手まといになるからです。
COP15での日本政府の対応は近年稀に見る優れたものでありました。敢えて注文をつけるとすれば、2010年~12年の3年間で150億ドルの途上国「鳩山イニシアチブ」は余計であったという点です。「鳩山イニシアチブ」は結局途上国の行動を変えられず、合意をまとめる事につながりませんでした。「他国から称賛される」という安易なショーマンシップは、「ごねた方が得」という誤ったメッセージを参加者に与えました。
リーダーシップはショーマンシップではなく、大義のために相手の行動を変えてこそです。そのためには、時には憎まれ役になる事も必要です。
今回のCOP15のdealbraker(交渉決裂の要因者)は、中国、米国、途上国です。本来は、日本は「あなた方のせいでCOP15の会議、政治への信用がぶち壊しだ!」と強い調子で迫る位でなければいけない位です。
この交渉アプローチが効を奏すれば早い段階に、そうでないとしても、地球環境問題の深刻性から、各自に根源的な対策を求められるようになります。政治の迷走に安心せずに、当てにならない政治に振り回される事がないよう、各自で持続的な成長を経営目標に織り込んだ根源的な環境経営に舵を取るべき時が来ていると考えます。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます