~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 国内外の先進的小売企業は、宝の山である販売フロアーに転がっている「顧客が語らない顧客の真の声」を、RFIDやITなどの仕掛けを駆使して拾い上げて成功しています。 さてその秘密と仕掛けとは?
◆このグループには、持株会社であるメトロAGの傘下に、四部門
があり、ひとつがギャラリア カウホフ(以後カウホフ)という百
貨店部門で、エッセンにある店舗を始めとし主にドイツ国内に141
店舗を所有し運営している。
◆カウホフのエッセンにある百貨店では、RFID(ICタグ)を最大
限活用して、販売フロアーに眠る顧客の情報、特にPOS以前の情
報、つまり、売れなかった商品の情報を収集している。
◆エッセン駅前にあるカウホフの百貨店の3階メンズフロアー
(売り場面積2000平米)に陳列してある約3万点にのぼるあらゆ
る商品(紳士服、紳士用品、小物類など)すべてに世界標準である
EPCグローバル準拠のUHF帯RFIDタグを貼付し、さらには陳列のた
めに配置されている台や棚、ラック類などの500のすべての什器に
も資産管理用のRFIDタグを貼付して、すべての商品の個品管理を
RFIDで行っている。
◆それらの膨大な数の商品に貼付されたRFIDタグは、フロアー一
面に配置しているリーダーによってアンテナ経由常時読み取られて
いるのである。
◆リーダーやアンテナは、棚、試着室、精算用のPOSレジスター
の台、エレベーターやエスカレーターの出入り口、壁、ハンガーを
かける什器や商品陳列台などに取り付けられており、お客様には見
えないように工夫されて設置されている。
◆この仕掛けによって何が分かるのか? 売れた商品の情報は
POSデータから分かる。 だが、売れなかった商品はPOSを通過しな
いから、データとして上がってこない。 売れなかったということ
はわかるが、フロアーマネージャや商品開発や仕入れ担当者が
一番知りたいのは、なぜ売れなかったのか?ということである。
◆商品ひとつひとつのICタグをリーダーが読み取ることによって、
どの商品が何時何分何秒にどこからどこへ移動した、あるいは移動
しなかったという履歴情報を個品単位でしかもリアルタイムに得る
ことが出来るのである。
◆一言で売れなかった商品といっても、ヒストリーがある。 その
ヒストリーが全て分かる。 ある商品は一回も手に取られることが
なかったとすると、製品のデザインや魅力そのものが劣っているの
か、あるいは陳列方法や棚割りに問題があった可能性が浮かび上が
る。
◆ある商品は、何回も手に取られて、試着室で数多く試着されてい
るのに買われていないということがわかると、着心地が悪いのか、
サイズのラインアップに問題があるのではないかという仮説がたつ。
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