~ サービスサイエンス的思考法でビジネスモデルを探る ~ 国内外の先進的小売企業は、宝の山である販売フロアーに転がっている「顧客が語らない顧客の真の声」を、RFIDやITなどの仕掛けを駆使して拾い上げて成功しています。 さてその秘密と仕掛けとは?
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■ 顧客が口に出さない隠れた重要情報を見える化せよ!
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◆さて、セリアの場合はどのような方法で、販売フロアーにて顧客
が言わない隠れた重要情報を取得しているのであろうか? 日経記
事によると、「支持率」という数値を商品ごとにはじき出して活用
することにより、「商品力」を見える化しているのである。
◆「支持率」の算出方法は、各店舗で、POS(販売時点情報管理)デ
ータから得られる単品ごとの販売数を、その日の客数で割って出す。
これで店の規模による販売数量の差を取り除く。 セリアはこの数
字を「支持率」と呼んで、重宝している。
◆この「支持率」は、同様に全店ベースでも算出され、両者の「支
持率」を比較するのである。 元々セリアの商品はすべて100円均一
であるため、価格差による販売力の差はない。 従って、両者を比
較することによって、純粋に商品の「支持率」をベースとした現場
の課題が浮かび上がる。
◆例えば、ある商品で、全店ベースの「支持率」に比べ、個店ベー
スの「支持率」が低いという場合、考えられるのは、その店の商品
の打ち出し方が弱く、販売機会損失を起こしている可能性があると
いう仮説をたてることができる。
◆つまり、PDCAサイクルの中の対策(Action)を取るための重要
な情報を得ているのである。
◆今までは、店長が経験と勘を頼りに発注していた品揃えにも変化
をもたらすことになる。 ある学生街立地の店舗では、文房具類を
中心に品揃えをしていたが、その店の「支持率」をよく見ると、キ
ッチン類や陶器などの雑貨の「支持率」が全国平均より高かった。
◆そこを重点的に品揃えを行った結果、この店の売上高は前年比
26%も伸びたという。 まさに、結果をチェック(Check)し、その
上で商品構成を見直すという対策(Action)を講じるという一連の
サイクルをきちんと回して、成功した事例である。
◆あるいは、若い女性向けの「シュシュ」と呼ばれる髪飾りが、全
店ベースの高い支持率であることを、通常ならそういった情報から
隔絶されている高齢の店長が知って、積極的に発注をかけて売り上
げを伸ばしたという報告もある。
◆海外の事例を見てみよう。 ドイツのメトログループ(METRO
Group)は、2005年に売上高が約600億ユーロ(約10兆円)を達成
し、ドイツを中心に31か国に2400店舗を所有、従業員数は27万
人を擁する、ドイツ一の、また世界でも売上高で第三位の大手流通
小売グループである。
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