金融商品取引法(通称J-SOX法)の適用が間近に迫り、各社も対応に追われている状況ではないでしょうか。 これまで、J-SOX法や実施基準の解釈、文書化整備のノウハウ等がさかんに取り沙汰されてきましたが、 2009年3月期の適用まであと2年弱、改めてこの間に企業は何をすべきなのか、これまで公認会計士として 内部統制関連の数多くの実績を残されている、株式会社オーディターズスクエア代表取締役 長谷友春氏にお話を伺いました。
~この一年は経営者評価に焦点が当たる!~
この一年は文書化の作業量に注目が当たりましたが、今年はどんな年でしょう?
今年度は多くの企業が経営者評価の難しさに直面する年だと思っています。内部統制の運用状況の評価にはサンプリングによる評価が必要ですが、そのサンプル母集団の特定や発見された不備の評価方法等については解釈が分かれるところなので今年はその辺の議論が焦点になると思われます。
日本では特にダイレクトレポーティングの不採用により、経営者自身が作成する「内部統制報告書」に対して監査人が意見表明を行う形になっています。この点における実務的な影響はいかがでしょう?
ダイレクトレポーティングの方が企業も監査法人も負担が少なかったのではないかと思います。企業の文書化の出来が多少悪かろうと、監査法人が自ら企業の内部統制の有効性を検証するのであれば、内部統制監査の意見表明に対して今のように過度にナーバスにならずにすんだでしょう。そうすれば、今のように企業にとっては文書化範囲ですら明確なことは何もわからないという状況はなかったであろうと思います。
最後にJ-SOX法対応にお困りの経営者の方々に一言お願いします。
J-SOX法は、企業だけでなく監査法人にとってもわからないことだらけで手探りで進んでいる制度です。今後企業にとって本当に役に立つ明確な基準や指針が出る可能性も低いです。監査法人もぎりぎりまで自らの方針を明らかにしないでしょう。そんな状況においては、とにかくできる範囲で作業を進め、今後監査法人からの指摘により発生するであろう手戻り作業に対応できる時間を確保すること重要です。今、最も貴重なリソースは人でも金でもなく時間です。
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