透明であることが経営に革新もたらす。
人にはプライバシーがある。朝食のメニューや休日の過ごし方など、できれば他者からの干渉を受けたくないものである。仕事をこなすための方法や手順などについても、仕事の結果に重大な影響を及ぼす場合を除いて、厳格な支持や命令を受けたくないことは多いであろう。
製品やサービスの開発プロセスにおいては試行錯誤が欠かせない。研究者など関係者同士のコミュニケーションは透明であることが望ましいが、組織の外部には、不透明な情報を伝える必要はない。未確定なものごとを、その状況や背景を知らない第三者に伝えることに労力や時間を費やすのは賢明ではない。それは混乱を引起すだけである。確定した情報であっても、特許を取得するに値するような情報であれば、戦略的に情報がオープンにされることもあるだろうが、一般的には特許を取得して保護される。
ものごとを伝達するためには時間や労力がかかる。そのような時間や労力を使って、より良い仕事の実現、製品の開発、サービスの提供に注力したいという思いもあるだろう。それは仕事や技術にプライドを持つ職人の気質でもある。
それでも、他者に自分の考えを伝えること、組織の活動を報告すること、企業の活動を理解してもらい、適切な評価やフィードバックが受けられるような材料やきっかけを提供することは有効な経営手法である。
情報の発信によって、逆に情報が収集される。集まる情報を適切に処理する判断力や判断基準が必要だが、適切に整理された情報の価値は、独自に研究、あるいは、比較検討した情報の価値を上回ることにもなるだろう。独自の研究や検討を本当に価値のあるものにするのも外部からの情報であり、他者からの評価である。
情報を密室の中にとどめず、ガラス張りにすることによって得るものは大きい。ガラス張りであることの恩恵を最大化するような思考、組織、戦略も必要である。
ガラス張りの経営とそれを取巻く自由な競争が経営に革新をもたらす。それが組織、産業、社会、あるいは、それらを構成する人々に幸福をもたらすことが期待される。
【V.スピリット No.108より】
V.スピリット 総集編6
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