リーダーに問われるのの知識、能力、経験ではなく姿勢である。
知識、能力、経験の総合値が100のリーダーAと総合値が80のリーダーBが特定の活動領域で組織を率いる場合、この総合値の100や80は製品識別番号のような意味を持つ。
過去の実績値が高い方が、現在の評価が高くなり、将来の予想も高くなる傾向がある。このため総合値が高い方が好まれる。しかし、問われるのは、現状の総合値からの変化量であり、変化率、そしてそれらの安定性や持続性である。
それぞれのリーダーはその組織を構成する社員、顧客、取引先、株主などの利害関係者の中心となり、特定の活動領域における派閥や宗派のような目に見え難い集団を形成する。
同じ活動領域にあって、それぞれのリーダーは、より細分化された活動領域を持つことになる。このためリーダーAとリーダーBを中心とする組織や集団は直接的には対立しない。リーダーBを中心とするグループは、リーダーAを中心とするグループよりも優れていと思っている場合もある。
それぞれのリーダーがリーダーとしての適切な役割を果たしている限り、どちらのリーダーのグループも他のグループの干渉を受けない。競争に負けることもない。
一方のリーダーのグループが不当に他方のリーダーのグループを攻撃したとしても、攻撃を受けた方のリーダーは、うろたえる必要はない。自己の姿勢に自信を持ちえる限り、平常心で活動すれば良い。相手が勝手に転ぶこともある。柔道の技を駆使するまでもなく、相手が相手の力で、勝手に倒れることがある。
リーダーはその姿勢が問われる。その根底にあるのは倫理観や道徳心であり、そのリーダーの個性を含めた人格である。
リーダーは、自己の知識、能力、経験を高めていかなければならない。
知識や能力の基本的な部分は学校での勉強と同じである。本で読んだり、人から聞いて学ぶことができる。しかし、現実的に求められるリーダーの知識、能力、経験は、そのよな基礎レベルをはるかに超えている。独学や孤独な修行で身につくものではない。リーダーの知識、能力、経験は周囲の人々とのコミュニケーションを通して蓄積され、高められる。
ピラミッドを築くのと同じである。より高いピラミッドを構築するには土台となる多くの石を敷かなければならない。この土台となる石の役割をするのはグループを構成する人々であり、また、その人的・感情的なエネルギーである。「ミコシに乗る人とミコシを担ぐ人」という観点で言えば、リーダーの乗るミコシの成果を決めるのはミコシを担ぐ人でもある。
人は好き好んで踏み台にされたりはしない。リーダーは「踏み台」となる人々の痛みや感情を理解しなければならない。リーダー自身、別のリーダーの活動において踏み台を提供しているはずである。 (次号につづく)
【V.スピリット No.110より】
V.スピリット 総集編6
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