BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
「Fさん、残り5名の安否ってどう思います?」
「え?」
「いやー。地震がおきてから半日経っているわけじゃないですか。それに彼らは独身で近所づきあいもあまりないと思うので、住んでいるのかいないのか、誰も気づかないと思うんですよ。」
「あぁ、そうだなぁ。でも、俺らの仕事は安否を確認することと、救い出すことだから、あまり余計なことを考えるなよ。」
「はい。」
救急病院を左に見つつ、10分ほど車を走らせて一人目の社員の自宅に着いた。
「何号室だっけ?」
「えーっと、203号室です。」
「すると・・・。あの部屋か。 あれ? 人影が動いたぞ。」
ドンドン!ドアを叩いてFさんが声をかけた。
「Gさーん。いますかぁ?」
「はーい。どなたですか?」
「設計部のFです。安否確認で来ました。」
連絡が取れなかったGさんは、充電の切れた携帯電話をテーブルに置き、あまりの被害の大きさに外出して良いものかどうかまったく判断がつかなかったらしい。
この状況をAさんにメールし、Gさんに着替えを持って車に乗るように促した。
「Gさんが無事でよかったですよー。次はHさんですね。」
Gさんを後部座席に乗せて、Fさんの車は走りだした。
Hさんの自宅は、Gさんの自宅から5キロほど離れたところにある。
到着してみると、そこは驚くべき光景だった。
「Fさん、Hさんの家・・・」
そこには、アパート一棟が倒壊した瓦礫の山となっていた。
「Hさーん。いますかー?」「Hさーん」
「何号室だ?」
「Fさん、101号室です。このあたりだと思うのですが・・・」
「よし、瓦礫をどけるぞ。」
101号室の付近には、箪笥やベッド、その傍らに潰れた携帯電話があったが、Hさんの姿はなかった。
「あのー。会社の方ですか?」
それは初老の男性で、頭に包帯を巻いた人だった。
「101号室の男性、何さんだったかなぁ・・・。今朝、早くに救出されて病院に運ばれたぞ。意識はあったみたいだけどなぁ。」
「どこの病院ですか!!」 Fさんは語気を強めた。
「救急車の中には直に運ばれたけれども、搬送できる先がないとか言って、病院を探しに出発していったのでよくわからないなぁ。」
「そうですか・・・。ありがとうございました。」
Fさんは落胆した声を漏らして、その場を後にした。
「Fさん、あとはIさんとJさんとKさんの3人です。」
次に向かった先の Iさんは、家の玄関に「××小学校に避難しています」との張り紙を張っていた。
Fさんは、××小学校へ向かうのを最後にすると決め、Aさんへ連絡してJさんの元へ向かった。
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