BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
会社で一人となった人事総務課長のAさんは、今後の対応について考え始めた。
・今すぐにやらなければならないことは何か?
・今週中にやらなければならないことは何か?
・今後、経営再建に必要なことは何か?
「まぁ、経営再建は上の仕事だから、今の俺には緊急対応だけやればいいか。後は・・・。そうだ、部長は役員昇格が懸かっているから、出社すれば陣頭指揮を執るかもしれない・・・。それまでにやるべきことを決めておかないと全体が混乱するな。この前のリスクマネジメントの研修も俺に行けって言っていたし・・・。」
とコピー機のトレイを開けてA4用紙を大量に抜き出して、課題と対策を書き始めた。
「まだ、携帯電話が繋がらないのか・・・。繋がらないと災害伝言板は使えないよなぁ・・・。」
「まずは、今すぐにやらなければならないことか・・・」
1.安否確認(携帯が繋がったら始めよう)
2.金庫の確認(重要書類や会社印の所在確認)
3.安否が確認できた社員の一覧を作ろう(玄関脇に張ろう)
4.災害復旧のチーム分け(社員一覧をチーム別にしよう)
5.会社が保有する資産の全てのマスター鍵が入っているケースの確認
6.そもそも、このビルの中にいて大丈夫なのか???
とそんなことを考えている間に、自分だけが潰されるのではないかという強烈な不安に襲われ始めた。
「重要書類を玄関脇に集めて、倉庫からテントを出そう。誰か手伝いに出社しないかなぁ。」
「Aさ~ん。大丈夫ですか?」
と声をかけてきたのは、3駅向こうにある寮にいる若手社員20数名だった。
「地震、凄かったですね。寮が縦に揺れてましたよ。会社に行こうと全員で決めたのですが、途中にある橋が落ちていて回り道をしていたら時間がかかってしまいました・・・。」
と寮の中でも年長のEさんが到着までの顛末を話してくれた。
「Eさん、みんなに話して、会社の重要なものを運び出したいんだ。それぞれの部署にある書類や端末を全部運び出してくれないか。保管先は部署別にして社用車に入れて欲しい。そしてシフト制で車を監視することになるだろうから、若い力が要ると思う。」
「あとね。Eさん、余震が来たら、全ての荷物を置いて外に出て欲しい。でも、ビルの残りのガラスが落ちるかもしれないから、数名は入り口で板を持って待機させて。」
残り50数名の安否が分かれば、本社は大丈夫か・・・。次は、支店への連絡が必要だな。どうしたものか・・・。
そこにDさんが病院から帰ってきた。
「Aさん、病院で聞いたんだけど、病院の無線では、震源はこの街らしいって言ってた。だから一番被害が大きいのがここだって。」
「そうか、じゃぁ、支店のことは心配しないで、復旧に全力を挙げればいいな。」
寮から来た社員の力で運び出せる大きさの会社資料や端末は全て運び出し、全て社用車に詰めて、それぞれのドアに小さく「○○部」と書き込んだ。
BCM-1
2008.08.14
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