BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
このお話しはフィクションです。ケーススタディの教材として作成しています。
とある中堅都市。地元の優良企業が本社を置き、首都圏にある大手企業の地方拠点が集約されている都市です。
夏休みも終わった残暑の残るある早朝、直下型の地震が発生し、震度7を記録しました。
都市内の交通機関は完全に麻痺し、電気・ガス・水道が止まり、固定電話も携帯電話も繋がらない状況になりました。
幸いなことに、周囲は既に明るくなっていましたが、窓から見える光景はどの建物が垂直に建っているのか分からない状況で、ところどころに煙が上がっています。
会社は正面入り口の自動ドアは時間帯によってオートロック、執務スペースはICカードセキュリティが施され、万全の体制をとっていました。電気が流れている限りは・・・。
人事総務課長のAさんは、あることを思い出していました。それは、昨秋の消防訓練の際に聞かされた「自家発電」の稼動可能時間・・・「3時間」。逃げることは想定していながらも、停電時に侵入されることまでは想定されていませんでした。
時刻7時半。そういえば、営業アシスタントの女性の一人は、いつも7時半には出社してデスクの掃除をしてくれていたんだよな・・・。
ということは「出勤途中」なのか・・・。 様々な光景が浮かんできます。
総務課長のAさんの家は、会社から電車を乗り継いで30分。歩くと2時間弱かかる距離です。
余震の怖さもありましたが、誰かが会社にいなければ・・・という義務感に動かされ、家族に状況を説明し、学校を休み自治体からの連絡に従うように伝え、避難場所を次男の小学校と確認して出発しました。
そういえば、ヘルメットの入った非難袋は会社に置いたままだったな。家には水の買い置きもなかったし。
総務をやっているのに、なんで何も準備しなかったんだろうと後悔しながらも、会社の資産と1番目に出勤している女性社員の安否を気にしながら、瓦礫で埋もれた道を必死に歩いています。
会社に関係する書類、携帯電話、手帳、財布をリュックサックに詰めて歩いている途中に思い出したこと。
飲み物がない。冷蔵庫には昨晩買ったビールしかなく、そのまま出てきたことに気づきました。
ふと左手に見えるコカコーラの自動販売機。上部が何か光っています。
「ボタンを押すと商品が出てくるのか・・・災害対策が進むとこういうものもできるんだな・・・」
会社への道の途中では、家ごと潰れてしまって、家族が誰か取り残された人を呼んでいます。
消防車も救急車も道を通ることができず、担架を持って救急隊員が走り回っています。
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