BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。 日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
若手社員がそれぞれの部門の会社資産を車に積み込んだ時、システム部のDさんがつぶやいた。
「うちの情報資産は、全て地下のサーバールームのサーバーに格納しているんですよ。各支店はそこから情報を取り出しているので、なんとかしないと・・・。」
「Dさん、そのデータのバックアップはどこにあるの?他の県に置いているって言っていなかった?」
「一部のデータしか置いていないんですよ。重要なものは、他の会社に渡したくないっていう社長の一言で営業や製造に関する詳細なものや設計・特許などに関するものは、同じ部屋でテープライブラリにしているんです。」
地下かぁ・・・。行かせたくないな。どうしようか。
地震が直下型だと分かった以上、余震も直下型である可能性が高いわけだから、余震がいつ来るのか分からないし・・・。
「Aさん、私が行って来ます。テープを回収してくるだけですから。」
会社の復旧を考えると、なくてはならないデータであることは間違いなく、AさんはDさんの行動を止めることができなかった・・・。
Dさんは懐中電灯を持って階段を降り、サーバールームに着くと、テープライブラリ装置を探して、テープを抜き出しサーバールームを立ち去ろうとした。そのとき。
「余震だ!」
傾いていたサーバーが倒れ、外ではビルのガラスが大量に降ってきた・・・
外で呆然とビルを見ている寮にいる社員達に、Dさんを救出に行くのは二次災害になるからと、搬出したテントの設営、近くのコンビニへの飲料・食料の確保、近隣住民の救助の手伝いへと行くように伝え、Aさんは余震が落ち着くのを待ってビルの中へ入っていた。
「Dさ~ん。どこですか~。」
真っ暗な地下室を懐中電灯で進んでいくと、ドアを破ろうとしているDさんがいた。
「ったく、なんでサーバールームの扉が引く扉なんだよ!! 会議室を改装したときに、扉に電子錠だけつけるからこんなことになるんだ!! 復旧したら押して開けるドアに替えさせてやる!!」
Dさんの無事を確認してほっとしたのは良かったけれども、サーバーラックが倒れて扉を塞いでドアが開かない。昔窓だったところも全て板で塞いでいるのでドアを破るしかなかった。
「Dさん、ちょっと下がっていて。ドアを塞いでいるラックの後ろにあるもの全部避けて、こっちから押してみるから。」
重い・・・!! 無停電電源ってこうなったらただの錘だな・・・。
少しずつサーバーをずらして、わずかに開いた扉の隙間からDさんを引っ張り出した・・・。
「早く逃げよう。」
BCM-1
2008.08.14
2008.08.12
2008.08.10
2008.08.10
2008.08.09
2008.08.09
2008.07.29