私のメンタルヘルス回復体験記(その3)

2008.07.03

ライフ・ソーシャル

私のメンタルヘルス回復体験記(その3)

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

最近、組織の中でメンタルヘルスに関する関心が高くなってきましたね。私にも、悪化、回復の体験があります。その体験が皆様のお役に立つかはわかりませんが、何かしらの役に立てばいいな、という願いのもと、つらつらと書かせていただきます。

 メンタルヘルスの本を読み漁り、セラピーや、心理系のセミナーにやたらと行くようになり、自分はマネジメントはきっと大丈夫!と思っていました。

 でも、1人、メンタルな病に倒れる部下が出現してしまいました。ある意味で、自分の力を過信していた自分への戒め、罰のようなものとして、その現実は私につきつけられました。

 当時、部下の数がどんどん増えて、こんなにたくさん大丈夫?と自分で思っていました。彼はプロモーションの専管部門から異動してきた人でした。

 しかも、彼の上司から、政治的な理由で、頼まれて私のチームに移ってきたんですね。正直、スペック的にはきつかったですね。できることはあるけど、ジェネラル感はなかった。

 もともと、月曜日の朝は来なかったりするタイプでした。既に兆候はあったんですね。それが、だんだんと、来なくなる。どんなに私とのコミュニケーション密度を濃くしても。職場のコミュニケーション密度を濃くしても。プレッシャーの低い環境にしても駄目でした。

 本当に大きな無力感を感じました。

 何度も、喫茶店で話しをしました。オフィスには来れないんですね・・・。そして、彼は同棲していた彼女との間に子供が生まれる頃で・・・。

 東京でやった結婚報告会?のスピーチもなぜか私がやって・・・。つらかったですね。

 この無力な私は、どうすれば彼がハッピーに仕事をしていけるのか?はわからなかったですね。

 それと、引きこもることは必ずしも悪いことではないとは思っていました。

 人を傷つけるような言葉を言いまくるようなカタチで心の健康問題が出てくるよりも、引きこもるというのは、人を傷つけないですし。

 それで、私はプロのセラピストでもないので、志村先生のところにかかってみたら、と部下に勧めました。めでたく、上司も部下も、セラピストの先生にかかるという状況になりました。

 メンタルヘルス問題を抱える上司と部下。まあ、いまどきは珍しくもないですが。

 彼は、半年程度、休職の後、職場復帰というカタチになりました。

 休職の時に、また小さなお話しがあります。私に彼の異動を頼んできた上司が、「信頼してお前に預けたのに、どういうことだ、俺が上司ならそんなことにはならない!」とおっしゃいまして、まあ、本人とも話して、異動ということになったんですね。

 でも、彼は異動しても、なかなか会社にいけませんでした。そりゃそーですわ。

 数日後、その上司から電話がかかってきて

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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