顧客ニーズを重視するマーケティングと資源的な制約を受ける運営の管理が対立する場面は多い。両者をいかに調和させるのか?企業の姿勢や態度が問われる。
「顧客ニーズに応える」、「お客様主義」、「お客様が一番」と顧客を尊重する姿勢を表明して批判を受けることはない。顧客が製品やサービスを購入してはじめて、仕入代金、原材料費、オフィスの家賃、社員の給料などを支払うことが出来る。売上、そして利益が上がらなければ株主に配当することも困難になる。顧客が重要であることに間違えはない。
しかし、このような顧客とはどんな人々なのか?商業全般において、あるいは、企業の社会的責任が問われる場面では、顧客とは全ての消費者や購買者を指すことが多いようである。しかし、現実の事業活動において、また、組織の役割としての「マーケティング」において企業が全ての顧客を対象にしていることはほとんどない。顧客ニーズが重視されても、事業活動の焦点は特定の人々に向けられている。製品・サービスごとに対象者は異なることは多い。
マーケティング、つまり、製品・サービス、価格、流通、広告宣伝などのプロモーションを計画し実行する活動と社内における運営の管理は密接に関連している。例えば、巧みなテレビCMによって製品に対する注文を受けても、それに応える製品の製造が間に合わなければ、あるいは、販売体制が整わなければ、テレビCMを活用したマーケティング活動は失敗したに等しい。顧客を過度に期待させしまい、顧客の期待に応えられなければマイナスの評価を受けることになるだろう。
ベンチャーや中小企業など、運営体制が整わない企業に対して顧客の希望が伝えられても、企業側が困惑することがある。「こんな製品が欲しい」、「あんなサービスがあったらいい」と顧客ニーズが伝えられても、そのような製品を作るための人材や資金が間に合わないこともあるだろう。「こうして欲しい」、「ああしてくれたらうれしい」という貴重な意見を集めても顧客ニーズの尊重とは別の次元で運営上の制約を受けるものである。
例えば、イベント運営において、契約によって特定の飲食業者のサービスしか利用できない場合がある。顧客からは「発泡酒とつまみ程度で良い(その分、料金を安くして欲しい)」、あるいは、「(多少料金が高くても良いから)もっと美味しい料理を出して欲しい」など、対立する意見が寄せられることがあるだろう。これらは改善のための課題となるが、短期的には対応し難いものである。安い価格を求める顧客と品質を求める顧客は顧客層が分断されていることがある。両者を同時に満足させることが出来ないことは多いかも知れない。
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