マーケティングの2つのCの構成要素である完全製品について前回解説した。ここではもう一つの要素であるコミュニケーションについて解説したい。
マーケティングの2Cにおける完全製品とは、顧客やユーザーの中核便益、製品の基本形、顧客の期待、付加価値や潜在的な製品の可能性など全てを含む物質的な概念であると同時に、継続的な製品としての完全さを求める姿勢や態度であり、精神的な概念でもある。
マーケティングの2Cを構成するもう一つの要素であるコミュニケーションとはどのようなものだろうか?マーケティングの2Cにおけるコミュニケーションは、製品メーカーやサービス提供者と消費者やユーザーとの意思の疎通である。
コミュニケーションにおける重要な視点は3つである。
1. 消費者やユーザーなど顧客が求めること 【顧客ニーズ】
2. 自己(自社)が求めること 【自己の欲求】
3. 顧客と潜在顧客の集合体である社会が求めること 【社会ニーズ】
1番目の顧客ニーズは顧客に直接聞くことによってある程度把握出来る。既存の製品に対する調査であれば、アンケートなどによって、顧客が特定の製品やサービスについてどう思うか、使いやすいか、分かりやすいか、便利かなど、情報を収集することが出来る。
2番目の「自己(自社)の欲求」は前述の「完全製品」に一番近い位置にある概念のようである。自社内で製品やサービスを企画、生産する過程に最も関わりの深いものかも知れない。一方で、自己の欲求は、自己の能力にも関係する。また、自己の欲求の中核には顧客ニーズや社会ニーズがあると考えらる。それでも自己の欲求と顧客ニーズ、あるいは社会ニーズのどれが原点になるかという議論は卵が先か、鶏が先かという議論に近い。自己の欲求とは、具体的には製品やサービスについて伝えたい、売りたい、利益を上げたい、社会に貢献したいなどである。
3番目の「社会ニーズ」は、様々な顧客のニーズや潜在的な顧客のニーズが有機的に結びついて生み出される。また、技術革新、政治経済、倫理道徳、環境など、様々な要素の影響を受けて社会ニーズは形成される。
マーケティングの2Cにおけるコミュニケーションは、社会ニーズを適切に形成する過程における、顧客ニーズと自己の欲求を調和させる活動だと言うこともできるだろう。そこには、製品の企画・開発、価格やコストの設定、販売や流通の計画、広告宣伝活動などマーケティングにおけるあらゆる活動が関わる。
【V.スピリット No.21より】
V.スピリット 総集編
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