これまで数々のピンチのときに、漫画の力に助けられたと語り、現在、日本のポップカルチャー・コンテンツを世界に広げるべく活躍中の保手濱彰人さん。著書『武器としての漫画思考』(PHP研究所)がベストセラーとなり、今後は漫画を活用した、人財育成にも注力すると語る保手濱彰人さんにお話しを伺いました。 聞き手:猪口真
猪口 すこし難しくなりますが、「自己肯定」と「セルフ肯定」を明確に区別されていると思いますが、それぞれどのように定義されているのでしょうか。
保手濱 自己肯定感というのは、結果として「自分が自分の価値を認められている状態」を指しています。例えるなら、英語のbe動詞ですね。一方、セルフ肯定はbeではなく動詞のdoです。まずは自分が自分の価値を認めるという、セルフ肯定があり、それによって自己肯定感が高まっていくという順番です。自己肯定感は高いほうがいいと言われますが、どうすれば自己肯定感を高められるのかはあまり理論化されていません。日本では順位や上下、数字の多寡の話ばかりが注目されますが、それは人間が勝手につくった主観的な尺度でしかない。本来は、それぞれのあり方として、それぞれが良しというのが大前提のはずです。これまで生きてきた人生も、今の状態や人間関係も、すべて良しと見れば良しになる。ところが、現代日本人にはその感覚があまりにも抜け落ちてしまいました。
現在の日本人は自己肯定感が極端に低く、自分で自分を肯定することを知らないからこそ、他人からの肯定、つまり承認を求めてしまう傾向があります。これまで、他人から肯定されないと、つまり、一般常識や世の中の規範として良しとされていないと、自分で自分を良しとしてはいけないという抑圧があったわけです。
だからこそ、まずはセルフ肯定で、自分が自分のあり方を肯定してあげることから始まります。他人から肯定してもらっても、自分自身が自分のことを否定していれば、けっきょく心からは自分のことを肯定できない状態が続きます。自分が自分を肯定できなければ、根本的な自己肯定感は上がらないし、他人のことも肯定できません。自分が自分を否定している状態で、他人を肯定する余裕は生まれないのです。
猪口 上の世代とZ世代という価値観がまったく異なる世代に挟まれている、いわゆるミレニアム世代と言われる新任マネージャー層にとっては、なかなか自分を肯定しづらい環境にあるとも言え、セルフ肯定の視点を得るだけでも大きいと思います。
インサイトナウ編集長対談
2024.06.03
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