日本全国で空き家が増加する中、「あなたの投資で社会が良くなる」をキャッチフレーズに、「空き家・古家に投資をして安定収入を得る方法を学ながら、実践できるサービスを提供する「一般社団法人 全国古家再生推進協議会」。その仕組みや意義について、理事長の大熊様にお話しをうかがいました。 (聞き手:猪口真)
お相手:大熊 重之様
一般社団法人 全国古家再生推進協議会理事長
木造戸建て空き家をなんとかしたい
猪口 昨今、空き家が増えている中、全国古家再生推進協議会さんではどのようなサービスを提供されているのか。協議会をつくったきっかけから紹介していただけますか。
大熊 全国古家再生推進協議会が発足してちょうど10年近くになります。僕は製造業で部品塗装の工場を経営していました。2010年のリーマンショック後、建築業界の状況は悪く、私の工場も不景気に苦しんでいました。この苦況を打開するため、新規事業として、塗料を使ったローコストリノベーションという仕組みを思いついたことが、そもそものきっかけです。この仕組みを全国展開するため、自分たちでやるにも限度があるので、スクールをつくることにしました。当時は「箱モノから人へ」という政策によって建築工事の件数が減少していたので、職人たちの仕事になればいいという思いもありました。
ワンルームマンションのローコストリノベーションは20万円前後と安く済むので、たしかにお客さんの受けが良かったのですが、こちら側としてはそれほど収益が上がらないため数を取らなければなりません。戸建てであれば1件当たり1桁違ってきます。そのほうが職人にとってもいいですし、お客さんにも戸建ての賃貸を安く貸し出すことができると非常に喜んでもらえます。そこで戸建てにシフトして、スクールを戸建て向けに変えていきました。
マンションでやっていた時、問題だったのが営業です。100人弱ぐらいの方に受講してもらっても、営業ができなくて、実際に仕事の柱になるまではなかなか至らなかったのです。それではだめだということで、戸建てのスクールをつくる時に、お客さんも一緒に集めることにしました。戸建ての投資家を集めて工務店とマッチングしようと考えたわけです。それが協会の始まりです。
猪口 非常に魅力的なビジネスモデルである反面、賃料が付くような物件が本当に集まるのだろうかという疑問もあるかと思います。今は自治体も苦労している状況ですが、実際、いわゆる空き家や売却希望の家はどれだけ集まってくるのでしょうか。
大熊 築古民家の再生は、とんでもない高利回りという話ではなく、辺鄙な地方というわけでもなく、個人の特別なスキル、キャラクターが要るものでもありません。総務省の「住宅・土地統計調査」の速報値によると2023年の日本の空き家数は約900万戸です。協議会では、この空き家の中でも最も多い木造戸建てを何とかしたいと考えています。
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