スポーツへの参加障壁をなくし、誰でも「勝つ」可能性を秘めたスポーツが「ゆるスポーツ」 今では、企業でのイベントや企業研修にも取り入れられています。世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也様に、ゆるスポーツの魅力とこれからの可能性についてお話をうかがいました。(聞き手:猪口真)
お相手:萩原拓也様
世界ゆるスポーツ協会 GENERAL SECRETARY
「楽しい下剋上」が起こる、ゆるスポーツ
猪口 本日は世界ゆるスポーツ協会の萩原さんにお越しいただきました。ゆるスポーツとはどのようなもので、現在競技はどれくらいあるのでしょうか。世界ゆるスポーツ協会を設立した経緯をお話しいただけますか。
萩原 ゆるスポーツは年齢・性別・運動神経に関わらず、誰もが楽しめる新しいスポーツです。超高齢社会でスポーツ弱者が多い日本だからこそ生み出せるみんなのスポーツで、勝ったら嬉しい、負けても楽しく、多様な楽しみ方が用意されています。現在ホームページ上に出しているものを含めて約40競技がありますが、これまで実際に作ってきたスポーツは100競技以上になります。
スポーツには間口が狭い部分があります。例えば、経験者でないとできない、障害がある人にはできない、子どもにはできないなど、間口が狭い部分がけっこうある。一方でスポーツ自体のコンテンツとしての価値は大きくて、まず実際にスポーツをすることで健康になります。これは医学的な健康という意味で、身体的に健康になり、精神的にも健康になるので、ストレス発散になったり、気晴らしになったりします。また、コミュニティや新しい人たちとのつながりを作るという点からもスポーツ自体は有用なものです。
ところが、スポーツ庁が行った運動実施率の調査によると、現在スポーツをする人や好きな人は成人では半数程度です。これはもったいないと思って調べてみると、やらない人には大きく分けて3つの理由がありました。まずは身体的に、お年寄りだから、障害があるから、妊婦だから、病気だからなど。あとは物理的に、友達がいない、やれる施設がないなど。一番大きいのは精神的な理由で、スポーツが嫌い、嫌いではないけど見るほうがいい、昔部活で散々やったから今さらいいやという人もいます。そのような積極的な理由はないけど、スポーツをする時間があったら家でネットフリックスを見るほうがいいという人もいます。
これは非常にもったいないことです。こういった人たちも含めて、もちろんスポーツを好きな人や今やっている人たちも含めて、みんなができるスポーツを作ってみようと9年前にこの活動を始めました。初期には自発的にたくさんのスポーツを作ってきましたし、最近は企業や自治体から依頼を受けて作るケースも増えています。例えばこういった製品、こういった技術を利用したい、こういった人を対象にしたスポーツを作ってほしいといった依頼です。
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