​セレブの敗北:数字を持っていない有名人たち

2024.11.07

ライフ・ソーシャル

​セレブの敗北:数字を持っていない有名人たち

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/でかいテレビ局、でかい出版社、でかい芸能事務所に就職できたというだけの連中、世襲や派閥のツテで経営側に座って、安穏と億単位の報酬を得ている連中が、どうして世間との共感が保てるだろうか。物価高に高課税で貧しくなった一般の人々は、とっくに縁が切れている。/

あれだけ大勢の有名人が支持しているのだから、負けるわけがない。と、ギョーカイ人たちは思っていたのだろう。これまでにゲストに呼んでいたのも、一方的に腐す学者や評論家、タレントだらけ。開票に及んでも、まだ、まだわからない、とか、もうたいへんなことになる、とか。

最近、雑誌が売れない、視聴率が取れない、と言うが、根本において、ギョーカイ人、連中がありがたがるゲーノー人が、ようするにもう数字を持っていないのだ。それどこか、いまや世間の大多数の人々から反感を買っている。そのことがわからないくらい、ギョーカイのアンテナが腐ってしまった。そりゃそうだろう、でかいテレビ局、でかい出版社、でかい芸能事務所に就職できたというだけで、人気のイベント、流行の飲食店の行列に割り込んで、タダ飯を喰って、おいしい! しか言えない大口バカ笑いの連中に、どうして世間との共感が保てるだろうか。

企業でも同じだ。人手不足だ、などと言っているが、当然の結果だろう。社長もギリギリでがんばっているのだから、おれたちも、というのならともかく、業績や実力に関係なく、世襲や派閥のツテで経営側に座って、安穏と億単位の報酬を得ている連中が、時給千円そこそこ、昇格の可能性ゼロで人が使えると思っている時点で、世間から遊離し、人望を失っている。そんなんだったら、小さくても社長も社員も無く、夢を追いかけ、将来の昇級と出世が期待できるスタートアップ企業に行くに決まっている。

いや、むしろ嫌われているのだ。もちろん、カルト教団のように熱狂的な、というか、頭の良い追従者、頭の悪い追随者はいるだろう。それで、ギョーカイ人やゲーノー人、セレブ経営者たちは、外が見えなくなる。それで、うちは上げ底じゃない、などと、逆ギレする。が、結局、数字を持っていない。それどころか、彼らそのものが、人気低迷、経営不振の最大の元凶。けれども、それを諫める人もいない。それどころか、役にも立たない広告代理店やコンサルのようなタカリ連中で身内を固めて、その壁の厚さで耳を塞ぐ。だが、事態はいよいよ悪化していっている。以前のどこぞのお友だち内閣のようなもの。

実際のところ、いまの時代すでに、雑誌やテレビ、コンビニ、高級観光地なんか無くなったって、世間はたいして困らない。どのみち、こんなもの、物価高に高課税で貧しくなった一般の人々とは、とっくに縁が切れている。なのに、ワラにも縋るように、この場に及んで、一部で有名なだけの高額タレントを使って大量のCMを打ったり、エコロジーだの社会貢献だの言い出したり。外面の見栄っ張りより、まず自分のところの顧客や従業員をもっとたいせつにすればよいのに。1万円以上のチケットを買って、民衆のために命を賭けて戦おう!なんていう茶番芝居に涙しているのと同じ。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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