テレビの凋落:なれあいのなれの果て

2025.04.14

ライフ・ソーシャル

テレビの凋落:なれあいのなれの果て

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/カネを払ったスポンサーではなく、また、視聴者のニーズでもなく、広告代理店やテレビ局が放送を私物化して、恣意的に人材や企画の露出度を強引に引き上げ、人気を捏造するようになった。つまり、起用して露出させているから、人気が出た、数字が集まったにすぎない。こんなものに乗せられるのは、いまだにネットもまともに使えない情報弱者だけ。/

テレビ、見なくなったねぇ。だって、見たい番組、無いじゃん。いまの「業界」とやらでは当たり前らしいが、ぜんぶがぜんぶ、宣伝広告。朝から番宣だらけ。特集も、どこかの企業とのタイアップ。ニュース番組まで、なんの経験も無いどこぞの大手事務所の小娘、小息子が、キャスター顔してセンターに座ってる。まして、バラエティなんか、芸無し芸ノー人だの、ゴリ押し中年タレントだのが、なんかかってに、あちこち行って、あれこれ喰って、やたら騒いでる。これでいったいどこを見ろと。

いや、編成からして、どうかしている。たとえば野球。単純なマーケティングの数字からすれば、いまどきどう考えたって、売れる話題なわけがない。まして日本で米国大リーグなんて、あまりに無理がある。市場調査で、みんな行きたくない、関心が無い、って言っているのに、しつこいほどの万博ネタ。「機運醸成」って、それ韓流以下のヤラセじゃん。全国放送なのに、天気予報まで東京出羽守(ではのかみ)だらけ。こんな頭のおかしい連中に、よーつきあいきれんわ、と、言われて消されるのは当然。

民間放送連盟の規定では、CMは総放送時間の18%以下、と決められている。とくにPT(プライム、18~23)では、50~60分番組で6分まで。ところが、番組を54分にして6分のCMを入れ、さらに残りの6分のミニ番組にも2分のCMを入れることで、60分に8分もCMという「裏技」フォーマットの方が、いまや標準。第14章92項に「広告放送は、コマーシャルとして放送することによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」と決められているのに、「インフォマーシャル番組」なんて言って、本編そのものが商品や店の広告そのもの。また、115項で「個人的な売名を目的としたような広告は取り扱わない」とされているが、ギャグのつもりなのか、番組の中まで自分の名前を連呼するバカ芸人たちがまかり通る。

46項には「社会・公共の問題で意見が対立しているものについては、できるだけ多くの角度から論じられなければならない」とあっても、ウクライナだ、ガザだ、プーチンだ、トランプだ、となると、コメンテーターがこぞって絶賛罵倒、同情批判の大合唱。意見が対立していないことにしてしまえば、なんでもできる。まして社会・公共の問題でないとなれば、小保方でも、水原でも、斎藤でも、松本でも、中居でも、天才のごとくみんなで持ち上げて、手のひら返しで地獄に突き落とす。そして、世間にまで同調圧力をかけ、頭の弱い正義マンたちの陰湿な誹謗中傷を右へ左へ煽りまくる。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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