イスラエル:欧米植民地の最後のくさび

画像: パレスチナの壁

2023.10.12

開発秘話

イスラエル:欧米植民地の最後のくさび

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/ようするに、欧米は「レヴァント」を支配していたい、というだけのこと。アレキサンダー大王、ローマ帝国、十字軍など、なんども侵略を繰り返しているが、そんな人工国家、橋頭堡植民地が、これまで百年もったためしが無い。/

だから、今回、どちらが「勝つ」か、わからない。しかし、たとえイスラエルが国内のパレスチナ人を殲滅して国土の形を整えても、アラブ人の中に欧米人の異様な軍事国家が浮かんでいることに変わりはない。そして、長い歴史を振り返ると、同地での橋頭堡人工国家が、これまで百年を越えて続いたためしが無い。まして今日、BRICSをはじめとして、むしろ反旧大英帝国の一点のみを共通項とするグローバルサウスの結束が高まっており、以前のローマや英国、現代の米国のように、隣接する植民地同士の憎しみを煽って力を削ぐような分割統治、二枚舌外交の手法はもはや見え透いていて、周辺諸国ももうひっかからないだろう。

また、ウクライナでも明らかなように、閉じたイスラエルも、閉じたパレスチナ人地区も、自国での生活物資や武装武器の生産能力は限られており、その存立は、母国頼み。しかし、その欧米も、アラブ諸国も、自国内に困窮移民や没落労働者、反体制派の不満を抱えてテロや暴動の危険が増しており、いつまでこんな中途半端で、手間と費用ばかりかかるトラブル続きの橋頭堡植民地を支え続けられるか。

あわれなのは、どちらの側にせよ、国を信じて、そこに移住した人々、そこに留まる人々だ。日本も、昔、同じようなことを満州国で「実験」したが、かんたんに失敗した。それを信じて大陸に渡った人々は、結局、全財産を失い、引き上げたところで、仕事はもちろん、住むところすら無い。いや、小規模で言えば、戦後、各地にできた新興住宅地も似たようなもの。地元に根付いていない人工都市は、バスすらも無くなる。まあ、地元民にミサイルや空爆で殲滅させられないだけ、まだましか。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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