少子化問題は突き詰めると「人手不足」「社会を支える資金負担者の不足」「需要不足」の三つに集約される。その根本的な解決には生産年齢人口を増やす以外になく、実質的な移民政策の転換に踏み切るしかないところまで事態は来ている。
外国人が日本で合法的に就労するための資格のあるビザは主に以下の区分だ。
- 技術ビザ: 技術や専門知識を持つ外国人が、日本の企業での雇用を受けるためのビザ。人数に関する具体的な統計はないが、これが最大セグメントではないか。
- 配偶者ビザ: 日本に住む外国人の配偶者や子供が、日本で就労するためのビザ。やはり人数に関する具体的な統計はないが、#1に準ずるのではないか。
- 留学ビザ: 日本の大学や専門学校に入学している留学生が、学業と並行してアルバイトやインターンシップをするためのビザ。2021年時点で約30万人以上。
- 技能実習ビザ: 一定の技能を習得するために日本に派遣される外国人労働者が、技能を磨くためのビザ。2021年時点で約20万人以上。
- 特定技能ビザ:特定の産業分野において必要な技能を持つ外国人労働者が日本で働くためのビザ。2021年時点で6.4万人強だが今後増加を見込む。
- 特定活動ビザ: 文化・芸術・スポーツ・宗教などの特定の分野で活動する外国人が、日本で一時的に就労するためのビザ。人数に関する具体的な統計はない。
このうち#1 #2 #5の発行条件と、家族の帯同および本人・家族の定住条件を思い切って緩める(そして#4は廃止し、緩和した#5に吸収させる)、という政策転換が小生の提言だ。
特に若い世代の外国人とその家族に就労・定住してもらうことを重点的に進めるべきだ。もちろん、本人およびその家族には就労と共に社会保険に加入してもらい、税金もきちんと支払ってもらうことが必須条件だ。
念のために追記すると、三大問題の解決のためには、外国人定住者が日本国籍を取得することは当面は必須ではない。しかし日本に定住した外国人一家の子どもたちが日本社会に溶け込むためには、次の段階としては日本国籍取得の条件を大幅に緩めるまで進めるべきだ。これは実質的な移民政策の転換を意味する。
この政策転換により、急減する日本人の若者人口を補い、日本での生産年齢人口をある程度維持することが可能となる。そうすれば、先に挙げた「人手不足」「社会を支える資金の出し手不足」「需要不足」という少子化の三大問題は相当程度緩和されよう。
うまくいけば少子化傾向を反転させることも期待できる。生産年齢人口を短期的に急回復させることは難しいかも知れないが、日本人より外国人のほうが平均出生率は高い傾向にあることを考えると、次の世代までには生産年齢人口の減少傾向を反転させることも現実的に期待できよう。
社会インフラ・制度
2023.01.25
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/