前回 (https://www.insightnow.jp/article/11500) に引き続き、人材開発担当として、企業内で多くの研修を企画運営されてきた富士 翔大郎さんと、ビジネスパートナーとしてお仕事をご一緒されてきたマーケティングコンサルタントの金森努さんと鼎談(第2回目)をお届けします。記憶に残る研修を作とは、、必読です。
金森 研修会社がマーケティングの公開講座をやっていますよね。僕も今やっていて、時々人事の方に会います。人事で何を担当しているかと聞くと、多くが採用担当です。人事の方は、「採用はマーケティングだ」ということは理解されています。しかし、「育成もマーケティングだ」と発想している方には、残念ながら富士さん以外にあまり多くはお目にかかってはいません。
富士 わかった気になって始めてしまうのですよね。人材育成の講師として経団連さん主催のような経営者や人事部向けの講演会に全国回ったときに、講演の中で「あなたは経営者と現場の間のどちら側にいますか」という、立ち位置をプロットさせるテストをしました。冷静に考えてみると、上から言われたことをやっているだけなのに、現場の声を反映しているつもりになっていることに気づくためです。
現場の声に耳を傾けるのは、現場から異動してきた我々には本当は難しくないはずです。ところが忙しくてついついわかったつもりになってしまします。だからストレスゼロ、クレームゼロが大事なのです。受講生に対するおもてなし精神やホスピタリティも忘れてはなりません。例えば企画の例でよく話すのは研修の日程決めです。私の最初の企画では、現場が忙しい時期、納期や期末、夏休みを避けて11月3日〜5日の3日間の研修にしました。11月3日を選んだのは、過去30年間で最も晴れが多かったからです。会場移動があったので雨が降るとストレスですし、モチベーションも下がるでしょう。絶対に降らない日にしようと思って、過去の天気を遡って調べました。これもマーケティングですね。1つ1つに理由があるのです。
猪口 そうした1個1個がすべてノウハウになっているのですね。
金森 マーケティングで大事なのはやはり顧客視点です。富士さんは顧客視点で考えているからこそ、このような研修ができたのだと思います。だから、マーケティングなのです。私が何年も続けている研修でも、人事の方が「マーケティングって大事ですね。面白いですね」とだんだんわかってくれるようになって、熱量も上がってきています。人事の中でのマーケティングは採用だけでなく、「育成もマーケティングである」ということは絶対に思ってほしいところです。
富士 ここまでケースバイケースで企画してきた研修ですがこれまでの考え方や事例を整理し、マーケティングや問題解決のノウハウを含んだフレームワークのようなものに仕上げたいと思っています。また金森さんとはこれらのノウハウを整理して、これからのビジネスパーソンのキャリアや仕事の進め方に役立つ書籍にできないかと検討しているところです、ぜひ実現したいと思っています。
富士 翔大郎
主にIT系企業の人材開発コンサルタントを担当。コンシューマ向けの販売からECサイト構築、法人営業まで幅広い分野で営業職を経験。その後、デジタル技術の黎明期から変革期にITエンジニアを約10年経験。同時に人材育成にも携わり、現在に至る。法学部卒ながら教員免許を3種取得。
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12