「理系」と呼ばれる分野の取材と執筆を得意ジャンルとするライター集団「パスカル」を率いる、インタビューのプロフェッショナル、竹林篤実さん。哲学科の出身ながら、文系・理系の枠を超えてライターとして幅広く活躍される竹林さんにお話しを伺いました。(聞き手:猪口真)
猪口 編集やライティングの仕事は、広告代理店が受けて、編集プロダクションが受けて、外注が受けてと、いくつも段階を経ることがあります。僕の場合、間に人が入れば入るほど仕事がうまくいかないことが多々あります。お金の面もそうですが、仕事がうまくいかないのです。コミュニケーションが頓挫してしまって、意図が伝わらない。そういったことはありませんか。
竹林 代理店経由の仕事もありますが、どちらかというと任せてもらって、クライアントと直で話をするかたちが多いですね。代理店の方が出てきてディレクションするようなスタイルはまずないと思います。
猪口 特にライティングの作業で間に入ると、意図も狙いもわからなくなったりします。僕の話で恐縮ですが、代理店から頼まれるコンペがずっと苦手でした。その先のお客さんのことを何も知らずに、良い提案はできないと思うからです。竹林さんが先ほど話されたように、STPを考えない限りうまくいかないと思うのですが。
竹林 そうですよね。でも、「STPって何ですか?」と質問されるケースも多いですよ。
猪口 ウェブメディアが中心になってそういうことを言わなくなりましたね。バリュー・プロポジションという言葉もあまり使われなくなりましたが、先日、金森さんと対談したときには、やはり基本が大事だとおっしゃっていました。
竹林 本当にそうだと思います。特にBtoBの場合、経営層は投資対効果でしか判断しません。費用対効果、あるいは価値と対価のバランスと言ってもいいと思いますが、そこを相手に納得させられるかどうかです。納得させるというのは単に言葉だけの話ではなくて、バックボーンとして、市場や顧客についてわかっていないと言えないですよね。
相手の貴重な時間を無駄にしない。正確なコミュニケーションのためにも文章を的確に書く
猪口 コロナ禍でリアルでの対面営業がしづらくなりました。実際に今、特にセールスの場面でコミュニケーションの変化を感じますか。
竹林 メーカー等のセールスのあり方を横から見て、さらに非対面が進んでいて、効率性重視にシフトしていると感じます。今まで商談に行っていたのがどれだけ無駄だったか、そこに皆が気づいた。もちろん対面でないとだめな局面もありますが、今まで対面でないとだめだと思っていたところをオンライン化した結果、いかに業務効率が上がったか、という話はあちらこちらで聞きます。
猪口 いわゆる営業というのはコミュニケーションを主として成り立たせていく職種ですが、今後、営業の人たちはそこをどう考えていけばいいと思いますか。
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インサイトナウ編集長対談
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