コールセンターから代理店勤務を経て独立後、「マーケティングの全体像」の重要さに気づき、独自のアプローチでマーケティングを体系化。コロナ禍の厳しさも乗り越え、コンサルタントとして活躍する金森努さんに、ビジネスパーソンとして成長するためのマーケティングの必要性をうかがいました。 (聞き手:猪口真)
猪口 マーケティングの重要性は、ますます高まってきていますよね。会社においても、営業や企画部門だけではなく、あらゆる部門の人たちにもマーケティングは必要だと思います。今の仕事からひとつ上に行く、ビジネスパーソンとして成長するためにも、マーケティングは必要です。
金森 以前、マーケティングは専門部署の専門スキルという感じでしたが、一気に拡大しました。営業だけでなく全社員がマーケティングを理解しなくてはいけないという風潮になり、階層別研修などにも取り入れられることが増えました。さらに、新入社員にもマーケティングを学ばせようという動きが、企業の中でだいぶ多くなってきています。
また、スタッフ部門、管理部門でも、社内顧客という考え方で業務に取り組むように言われるようになりました。『図解 よくわかるこれからのマーケティング』の第二版でも、社内マーケティングについて加筆しています。
製造業の人に聞くと、もともとマーケティングという概念ではなく、「後工程はお客様」という言い方をされています。すごく良い言葉です。これはまさしくマーケティングで一番大事な「顧客視点」であって、要するにバリューチェンなのです。そのような文化がある会社もあるので、マーケティングの言葉として、より拡大して全体像を教えると非常に効果があります。ありがたいことに僕の本が売れるのは、企業が全社員に読ませるために買うことが多いからです。
猪口 これから、さらに企業のなかにマーケティング教育のニーズが増えそうです。
金森 ビジネスパーソンへのメッセージとして一つ言えるのは、今日多くの企業で「全社員がマーケティングのスキルとマインドを持っているべきだ」と考えられるようになったことです。憧れのマーケティング部に配属されたとしても、企業には異動があるので、マーケティング部にいられるのは3〜5年かもしれません。では、その後また別のことをやる時にマーケティングは要らないかというと、マーケティングはやはり必要です。だからこそ、マーケティングをきちんと最初から、できれば学生のうちに学んでおくことが大切です。自分の業務の中で、マーケティングの全体像の中で、自分が関わるのはどこなのか、自分はどこの部分を改善できるのかを知り、その中で、顧客視点で見た時に、どうアプローチすればいいのだろうかを考える。多くの場合、売り手の視点になっているので、顧客の視点に転換するような考え方を持つことが大事なのです。
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インサイトナウ編集長対談
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