コールセンターから代理店勤務を経て独立後、「マーケティングの全体像」の重要さに気づき、独自のアプローチでマーケティングを体系化。コロナ禍の厳しさも乗り越え、コンサルタントとして活躍する金森努さんに、ビジネスパーソンとして成長するためのマーケティングの必要性をうかがいました。 (聞き手:猪口真)
猪口 マーケティングにはどうしても時流のようなものがあって、今はネットやSNSが主流となりつつあるなか、エクスペリエンスと言われてみたり、ジャーニーと言われてみたり、言葉が変わっていく中、マーケティングの本質は変わらないと思うのですが、ビジネスにおいては、こうした「流行」に対してどうアプローチされていますか。
金森 僕は方針として、「流行」を追いかけないと決めています。Webマーケティングと言われ出した頃、勉強しましたが、けっきょくそこで言われていることのほとんどがプロモーションでした。どのようなメディアを使って、どうやったらコンバージョンが高くなるかといったことはプロモーションなのだから、Webプロモーションと言うべきです。
Webマーケティングとマーケティングは違います。僕がよく言うのは、「Webマーケティングはプロモーションですから、最後に考えてください」ということです。
マーケティングは「流れ」で考える必要があります。マーケティングの流れの重要性に気づいたことで、マーケティング全体にまで領域が広がりました。
今の仕事はメーカーの商品開発、特に売れていない商品のテコ入れが多いのですが、広告代理店出身ということもあり、プロモーション企画を期待されます。
そこで「そこだけやってもだめですよ。マーケティングの流れで考えましょう」と、最初にお伝えしています。今では、月2回のミーティングでは、6カ月間という期間で、製品企画から販売計画の策定、発売後の戦略修正までというコンサルティングメニューを始め、様々なコンサルティングプランをクライアントに提供しており、広告会社勤務の時代と比べると、業務領域がものすごく広がりました。
ビジネスパーソンに必要な「読み書きそろばんマーケティング」
猪口 先日、経営学部の先生のお話を聞いたのですが、学生のほとんどがマーケティングをやりたがるそうです。僕らの時もマーケティングが一番人気でしたから、マーケティング人気は不変だと感じました。
金森 マーケティングは経営学部、商学部の学問です。ところが、僕が17年前に青山学院大学から声を掛けてもらったのは、経済学部からでした。当時流行っていたベンチャーを頭に付けて、「ベンチャービジネス・マーケティング」という講座にしたのですが、内容はベンチャーの立ち上げ方などでいいのかと聞くと、「そういうことをやってほしいわけではない。ベンチャービジネスでも何でも、マーケティングの基礎がきちんとできていないとだめだということを教えてほしい」と当時の学部長に言われて、それでずっとやってきています。僕の講座は半期の2単位分の授業なのですが、経済学部にも通期で専任教授がやるようなマーケティング論の授業ができました。すごく広がっていますね。
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