ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

画像: ぱくたそ

2018.09.26

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

ここは大事なポイントですが、ほとんど伝わらないことを覚悟して書くと、結局、「あなたの会社が見たからこそ見えてくる優位性のポイントというもの」があるはずです。

これは、「自社という主語にとっての意味合い」で環境が本当に見えているか?ということに依存します。

つまり会社と一心同体のアイデンティティーで世界が見えているか?ということです。

これに凝り固まるのも困るわけですが、そうではなく、自社の目線で世界を見ることができると同時に、顧客の目線で世界をみることもできる。競合の目線でも見える。そうすると、世界がこんなにも多様な見え方をするのか?ということがわかってくる。

これは、おそらく、よほど企画業務に精通した人にしか伝わらない部分だと思います。

先に述べた、「価値観の変化が成長である」というところから、他人の存在に気づき、他人の目線で見た世界が全く違う装いを見せることが少しずつわかってくる。そして、多くの現場に行き、いろいろな人にヒアリングをしたりすることによって、見えるものが変化する体験を積む。また、仮説が棄却されて進化していくたびに、見える世界が変わることに気づく。

ここまで来ると、自社が見たからこそ見える環境の変化、世の中の変化、顧客、競合の進化というものが競合優位性の本質であることに気づき始めるのです。しかし、実感を伴ってこの部分を理解できる人はここまで読み進めていただいた方の中でもごくごく一部の方だと思います。

ある意味で、自分の世界を離れた目線で物事が見えてくる。こういう物事の見方を本当の「俯瞰」というんだろうなあ、というふうに物事が見えてくる。そうすると、また1つの気づきがある。あたかも世界の外側から世界を見ているような感覚で物事が見えてくるという気づきです。これを、「メタ」的な物事の見方とこのレベルに来た人は呼んでいます。

この見方ができるようになると、世界にはそもそも法則などない。法則が成立するような物事の見方があるだけであるということが実感をもって感じられるようになります。

そうすると、経済学の法則なども、リアリティをもって感じられるようになる。もしも、完全自由競争ならば、需要と供給の均衡があって、というような理想状態がすごく腹に落ちるし、そこから、現在想定している系がどれぐらいずれているのか?がわかったりする。すると、その市場の存在理由、つまりプロフィットが存在している理由などが見えてきたりする。完全な競争状態であれば利潤はないはずですからね。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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