ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
ここから先に行くには、施策レベルの仮説とマーケットに関する仮説が違うことがわかることが大事です。どんなアイデアでもいいというならば、アクションレベルでの仮説を作るのは、マーケットに関する仮説を作るよりは簡単な面もあります。
「うちの会社は何をすればいいと思う?」と問われれば、「従業員の給料を上げるべきだ!」でもいいし、「顧客満足度を上げるべきだ!」でもいいし、「CSRをすべきだ!」でもいいわけです。ブレストの時であれば、こういうアイデアでも否定されない。言うのはそれなりに簡単です。好きに思うことを言えばいい。でも、これで終わってしまっては、仮説思考の中学生です。
仮説思考の高校生レベルになって、顧客満足度を上げることがクリティカルであるマーケットの状況を想定するのは、そんなに簡単ではありません。
高校生のレベルに至るには、まずは、仮説は「施策のアイデアレベルのもの」と「マーケットの因果関係に関する仮説」があるということを知る、という段階があります。その上で、いくつかのアイデアが成立しうるマーケットの状況について考え、検証し続けるという経験が要ります。
こういった仮説を上司から求められ続ければ嫌でもわかりますが、もし社内で誰も仮説について知らない場合、にこのやり方を自力で考え出すのは難しいと思います。
独学で辿りついている人もたまにいますが、そういう人は企画業務の無茶振りをされ続けてはや10年といった感じの人が多いですね。10年やっているうちになんとなくわかった、と。
あるいは、「CSRをすべきだ!」と言った上で、CSRが企業価値の向上につながるようなことはあるのか?それはどんな時なのか?を考えるのも難しいと思います。
では、このケースで仮説思考の中学生、高校生、大学生の差と、成長に必要なことを見てみましょう。
ブレストで「CSRをすべきだ!」という主張をした人に、「CSRと企業価値はどんな関係にあるか?の仮説を考えて検証してみてくれ」と言うと、たいていは固まります。どうしよう?と。固まって終わりでは仮説思考の中学生レベルです。
ここで「CSRをすると企業価値が上がる」がこの世界において正しいのか、そうでないのか?現在はそうでなくても、今後そうなると言えるのか?といったことを考えればいい、と思えるか思えないか?でけっこう差がつくと思います。
この段階で大事なのは、企画とは「未来にいいことをもたらすためにやることである」という目的意識だと思います。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。