ロジカルシンキングを越えて:10.「仮説作りたい、論点切りたい病」とその処方箋

画像: ぱくたそ

2018.09.14

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:10.「仮説作りたい、論点切りたい病」とその処方箋

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

でもね、そういう人たちにいちいち説明しているのは時間がもったいないのです。

論点形式で検討事項を書くと、いかにも客観的に、積み上げでやっていますよ、というふうな見せ方ができる。そうすると、安心する人が多いのも事実だと思います。

あと、論点風に書くと、抜け漏れをチェックしやすい。MECEかどうかが分かりやすいのです。仮説優位で書いていくと、ブランクの領域がどこにあるかがつかみにくいですね。イシューツリーのような書き方をすると、どの部分が現在よくわからないのかが非常によくわかる。

そして、既存のフレームワークをとりあえず流用して、わからない領域を埋めていくこともできる。まあ、イシューツリー上に既存のフレームワークが書いてあったらそこはまだあんまり考えていない、わかっていないんだな、と思ってください。

あとは、経験則ですが、論点風にクエスチョンマークを書いて、ロジックツリーでまとめると、問いの形式が体系的に書いてあると、どうも頭がよく働く(笑)。そういうふうに教育されてしまったから仕方がないかもしれませんが、やりやすいことは確かです。

実務上は、仮説は棄却されることによって進化し、更新されていくものです。その仮説の進化にあわせて、論点も進化させていく。仮説がなんとなくある。論点に直してみる。論点をブレイクダウンする。そうすると、全体観が非常につかみやすい。すると、部分としての仮説の輪郭がよりシャープになってくる。すると、また仮説が進化していく。そして、また検証作業をしてみて、その結果によって仮説を進化させる。論点も切り替わる。

論点に関しては、この作業を延々としていくだけです。我々はあくまで仮説優位で考えて、それを論点で表現しているので、仮説思考の大学生ぐらいになれば、論点も自然とできるようになると考えています。長くなってしまいましたが、ここまでが「仮説作りたい、論点切りたい病とその処方箋」になります。次回でいよいよ最終段階になりますのでお楽しみに。


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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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