ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
そういえば、著名なコンサルタント/経済評論家という方が、このようなことを戦略担当大臣にご提案されていましたね。しかし、これは相関があるからといって、因果関係を安易に決めてはいけない、というデータ分析の基本中の基本をはき違えています。
このインフレ率と経済成長率の高い相関は、「景気が良くなると、その結果としてインフレが起こることがある」というふうに読むのが正解であって、「インフレが起こると景気が良くなる」と読むのは因果関係の読み間違いです。
あと、よくあるのは、ガソリンスタンドの立地条件を考えるためにデータを分析していたら、地域のコンビニエンスストアの数とガソリンスタンドの数が高い相関を示すようなケース。これは何かあるはずだ!と思うかもしれません。そして、ガソリンスタンドとコンビニエンスストアの併設店舗を作ればいいんだ!というアクションが出てくるかもしれません。
ただ、おそらくはうまくいかないのではないかと思います。ガソリンスタンドのオペレーションとコンビニエンスストアのオペレーションが違い過ぎて、併設店を作ってもコストの共通化が難しそうですし、シナジーのある形にするのも難しそうだからです。そんなマルチタスクができるコンビニのアルバイトがいたら見てみたいです・・・。いや、わかりませんよ。ひょっとしたら、ひょっとして、うまくいくかもしれませんから。
こういういわゆる「結果としての相関」の読み違いも頻発するのですが、もう1つ頻発するのが「コインの裏返しの施策」です。経営の指標を見れば、ちょっとずつ「問題だ」と読めることがたくさんある。それを1つ1つ叩いていくことは、現場のマネジャーは普段からやっている面があります。
彼らはこの指標を改善するために、何らかの施策をやると、また違った指標が問題を起こすことを知っています。なんとなく、これらの指標間に関係があることはわかっているのですが、それをまとめてどういう関係になっているという全体観をまとめるにはなかなか至らない。
簡単な例で説明してみます。
営業部門では、「成約率を上げろ!」が合言葉になることがあります。見込み客のリストは限られている。成約率を上げれば、売上が上がる。
でもね、「成約率が上がった!やった!」と思うと、別の問題が起きます。
たいていはクレーム発生率が上がるのです。クレーム対応にマネジャーが追われるようになり、「なぜこうなったのだろう?」と思うこともあるのですが、目の前のクレームの嵐に対応しなくてはならない。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。