ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
今のビジネスパーソンを見ていて思う成長に必要なことは、現有の情報量でなんとかする訓練ではなく、そもそもの情報量を増やすことだと思います。ある程度の情報量がないと、考えるという作業のトレーニングはできません。
「フェルミ推計」に関連した書籍を読んで「無駄なことはしない」と言うよりも、この段階にいるのならば、「何かを考えるより前に、勉強したほうがいい」という言葉を噛みしめて欲しい。
そもそも、調べているうちに何が何だかわからなくなるのは、情報処理のキャパシティーが小さいという現実の裏返しなのです。大量の情報を一気に処理できるビジネスパーソンと、少量の情報しか処理できないビジネスパーソンと、どちらがいいのでしょうか?
では、どうすればこの段階を抜けられるのか?大量の情報を効率よく処理できるようになるのか?
アクションに落としてしまうと次のようになります。
目的を必ず紙に書きましょう。できれば、その目的が発せられた背景も確認しましょう。その上で、背景と目的との関係の中で、調査項目を出していく。調査項目に何をどう調べればわかるか?を書き込む。そして、スケジュールに落とす。
こうした調査設計をしっかりやった上で、1つずつ調べていく。ただし、調べたことによる発見で、調査設計そのものが変更される可能性もありますので、必ず発見された事実が調査全体に与える影響について留意しましょう。
・・・と、なります。そう、ある時期からコンサルティングに導入されたワークプランと同じです。この部分は効率勝負なので、ワークプランが効いてくる。MECE、ロジックツリーという技術が効いてくるのです。
しかし、これを紙に書いたとして、簡単には実行できません。どうしても経験が要ります。コンサルティングはスペックの高い人間の集まりですから、ワークプランをがっちり作り、効率のすごく高いリサーチを実施することができるわけです。
知りたい病の企画マンとしては、こういったことに留意しながら、「無駄」を経験しつつ、5から10ぐらいの企画を担当すると、この段階を抜けられます。そして、「目的にかなったことしか調べる必要がない」という現実を、実感をもって噛みしめるようになります。
次の段階に達したとたんに、「効率よくやらないとダメだよ」と後輩に語り始める人も多いので、見ていてかわいらしいと思ったりもしますけどね・・・。
もう少し言うと、大量の情報を効率よく扱うために、抽象と具体をしっかり分けて、情報処理を行うという技術があります。具体的な大量の情報をそのまま扱うのはよほど巨大なキャパシティーが必要になります。従って、情報量を減らす必要がある。この情報を減らす作業を抽象化と言います。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。