ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
また、事業会社内でこのアプローチをやっても、効率は上がりません。意味ありげな分析をしたとしても、「こんなもんは使えない」「机上の空論だ」「だからどうした」とたたき上げの営業部長あたりに一喝されるのが関の山です。
ただし、数字やデータを使ってどのようなことが言うことが可能なのか?ということを知っているというのは非常に重要ですし、これをある程度やると、「こういうデータのこのあたりでこういう結果が出そうだ」というのが、なんとなくわかるようになってきます。
統計系の研究分野で修士号でも持っていれば、学生時代にそういった経験ができるのですが、そういうビジネスパーソンは稀です。数字の扱い、データの扱いを知るためにも、大量のデータと戦うという経験は意味があると考えています。
そして、この段階を越えると、仮説や論点をしっかり作った上での効率的なアプローチが必要だと考えるようになります。当初から因果関係仮説をもって調べないと効率が悪いことが身にしみてわかる段階です。
余談ですが、最近は、「仮説」「論点」を扱ったビジネス書がそれなりに売れているようです。この段階に達しているビジネスパーソンが増えているということでしょう。それはそれで素晴らしいことです。
しかし、仮説と論点というのは、扱いが少し高度です。ちょっと難しい。みんなでブレストをやろうと言って、仮説がほいほいと出てくればいいのですが、実際にやってみると、なかなか出てこないのです。
出てこないとどうするかというと、「論点をしっかりMECEに書いてみよう!」とコンサルティングテクニック本を読んでいる人は言い出したりしますが、論点は機械的に分けられるのか?というとそんなわけはないのです。
「あれ?研修では国を地域に分けたりして、うまく書けたのにどうしてできないのだろう?」といった疑問が湧いてきます。しかし、その疑問に答えられる人は少数です。ちゃんとマネジャーレベルまでコンサルティングでやってきた人でないとわからないでしょう。
ざっくりとした答えを言うと、既に出ているアイデアを分類して、その答えが出るべき論点を逆算して考えると、論点がいくつか見えてきます。仮説=アイデアのほうをMECEに分けていこうとすることで、その仮説同士の関係が見えてきます。そうすると、結果的に論点もMECEに分けることができるのです。
これは、自分で論点をMECEに展開していくという作業をやったことがないと実感できないことではありますので、ぜひ、日々の企画業務で論点を考える際に、ここを意識してやってほしいと思っています。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。