ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
しかし、調べているうちに、「なんのために調べていたんだっけ?」となってしまう。これを「知りたい病」と名付けました。
調べることは知識欲を満たしてくれます。調べだすと、世界にはこれほど多くの事象があったのか!と感動にも近い感覚を覚えます。しかし、なんらかの目的をもって調べているわけで、調べるために、知識欲を満たすために、調べているわけではないのです。
たまに、役員クラスの方でもいらっしゃいますね。「こういうデータ、ありますか?ちょっと知りたいんだけど」と思いつきで言われる方。それは本当に企業の企画にとって必要な情報でしょうか?と突っ込みたくなるような情報を欲しがる方。
事実を押さえる、ファクトベースで考えることは確かに大事ではあります。情報量が少ない人は薄っぺらい企画しか作れないことも確かです。その意味ではこの病にかからないで企画業務に携わろうなどというのは、勘違いも甚だしいということになります。
しかし、調べているうちに、何を調べていたかを忘れてしまったりするようでは、企画の達人へのみちのりは遠いと言わざるをえません。
そして、ある程度の情報処理能力がついて、しっかり目的を持って調べたりすることができるようになると、次にかかる病は「海の水を全て沸かす病」という病です。
この段階では目的にかんがみて、調べることができるようにはなっている。「知りたい」だけの動機で時間を無駄にしない。それはいいことなのですが、非常に効率の悪いアプローチをとる、というのがこの「病」の症状です。
たとえば、会社にあるデータをひっぱり出してきて、ひたすらクロス集計をかけたりする。最近では、会社にはデータは溢れていますから、相関があるデータを出すのに、クロス集計を100個もやれば、1個はなにか意味ありげなデータが出る。
もしくは、多変量解析や、データマイニングに目覚めて、データをいろいろな手法で分析する。あたかも統計分析のプロになってしまうかのように。
確かに、大量データを扱うことには意味がある場合もありますし、統計レベルで有意なデータを出せれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。
ただし、事業会社でもコンサルティング会社でも、このアプローチでやり続けると、体がもちません。たまたまいい分析結果が出るまで、みんな徹夜でやり続けるといった激務が待っています。信じられないかもしれませんが、こういったアプローチでやり続けて体を壊し、コンサルティング会社を去っていくビジネスパーソンがいることも確かです。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。