ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
彼らはコンサルティングの価値の源泉はチャートにあると思ってしまいがちな環境の中にいるのです。
しかし、マネジャーの側から見ると、下働きのコンサルタントの価値は低い。「クライアントの課題解決」がコンサルティングの価値ですから、チャートがあろうとあるまいと、クライアントが解決に向けて動き、アクションを実行し、課題が解決することが重要です。それがコンサルティングの価値です。
今では少なくなりましたが、チャートをほとんど作らないでプロジェクトを動かすマネジャー、パートナーもいます。企業課題が解決すれば、チャートがあろうとなかろうと、ロジカルだろうとそうでなかろうとどうでもいい、というスタンスです。ロジックはあくまでバリューを出す手段の1つであって全てではないのです。
ただ、こういったことは一般に普及しません。こういった知識も書籍の類ではほとんど語られません。正しいことを語ったとして損をするだけですからね。人々の幻想を打ち壊し、研修商売をしている人々の商売を悪くいい、邪魔をしたところで得にはなりませんから。
今ではロジカルシンキング本を出している方々は、マネジャーまでいかなかったような方々、コンサルティングの本当の実務を知らないような方々も多い状況となってしまっているというのも一因ではないかと思います。仕事が取れないコンサルタント、リピートでご指名で仕事がもらえないコンサルタントにどんな価値があるのかは知りません。
生きていくためには仕方のないことなのでしょう。大手ファーム出身であれば、サラリーマンとして事業会社で生きていけますからね。
とある大手ファームで、当時最年少でマネジャーになったコンサルタントは、事業会社でロジカルシンキング等を教える機会があると言っていました。「まるで英会話学校の講師みたいな気分だよ。本当に英語を教えるということを極めようとする人間は英会話の先生に甘んじてたらいけないはずなんだけどね。」と。
ビジネスに「儲けたもの勝ち、言ったもの勝ち」な面があることは否定しません。貨幣と商品の交換が起こることが、社会を成り立たせます。ブームに乗り、多数の交換が起こり、その結果として儲かればそれはそれでいいでしょう。
しかし、教育に携わる場合、ビジネスマンの企画力を上げ、日本に投資機会を作り出すこと、この危機的状況を打破することに貢献するという思いが、志としてあるべきであると私は考えます。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。