ロジカルシンキングを越えて:1.コンサルティング出身者の罪

画像: ぱくたそ

2018.02.19

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:1.コンサルティング出身者の罪

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

あなたがロジカルシンキングを教えられるのはなぜですか?というのは、本をちゃんと読んだから、コンサルタントの研修を受けたから、というような方々が増加し、世間にはますますわけのわからないロジカルシンキングが普及するという悪循環が成立しているのではないでしょうか?本当に自分で成果あるビジネスプランニングをしたことがあるんですか?とは聞けないですよね。

そもそも、コンサルティング会社の中で、ワークプランをかっちりやって、ロジックツリー、MECEをしっかりやりましょうということになったのは、コンサルティングの歴史の中でも、ごく最近のことです。年代で言うとは1990年代半ば以降のことなのです。

それまでは、クリエイティブな職人のような人々がコンサルティングをやって、なんとなくできてしまう人は残り、できない人は去っていくという風潮の中にありました。

この時代に活躍していたコンサルタントがもしもMECEという言葉を聞いたら、「なんだそれは?」と言うでしょうし、MECEの概念を聞けば、「頭が悪いコンサルタントが増えたのだろうか?」と思うことでしょう。

しかし、そういった環境の中で、チャート作りの下働きの人員を増やし、下働きをする人々のクオリティの均質化を図った大手のファームがありました。

そのファームは、それほど教育が必要でない優秀な人間を採用し、その人間の考えていることを吐き出させるために、ロジカルシンキングツールを開発しました。

それが、今では誰でも知っている感のあるMECE、ロジックツリー、「そら、あめ、かさ」と言われるようなツールであると思います。

そのファームの中でも、「マネジャーになるなら一旦MECEを捨てて考えられるようにならなければならない」という教えもあります。どういうことかというと、マネジャーになると、ある程度企画の根本部分をやるようになってくる。そうすると、その部分をやっていくには、いわゆるロジカルシンキングツールでは対応できない、ということなのでしょう。

下働きをやっているジュニアのコンサルタントは、「なぜ俺たちはこんなにたくさんのチャートをロジカルに作っているのに、給料が低いんだ!搾取されている!」と思いがちです。(低いとは言っても、短年の年俸でいえばそれなりです。彼らの比較対象はマネジャークラスであり、外資金融の友人たちですね)確かに、夜通しでひたすらデータを集めたり検証したりをやっていると、そう思ってしまうでしょう。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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