ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
余談ですが、音楽家は言語で考えて作曲をしているのか?というと、おそらくそうではないというのは簡単にわかるでしょう。彼らには音が直接思い浮かんでくる。それを楽譜に落とすだけです。楽譜が浮かぶと言うよりは音が浮かんでくるのですよね?
では、思考とはなんなのでしょうか?
プラトンは思考を対話だと言いました。
彼の著作は対話によって構成されており、対話によって、議論が深まっていく構成をとっています。確かに、これは思考と言えそうです。
しかし、特に対話がなくとも、頭の中でいろいろ思い浮かべるのも思考でしょう。たとえば、音楽家が作曲をするのも思考でしょうし、頭の中で計算をするのも、思考でしょう。
また、「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺がありますね。
具体的には、「風が吹けば、土ぼこりが立ち、人の目に入って、目が不自由な方が増える。そうすると、目が不自由だと三味線を弾いて生計を立てざるを得ないから、三味線が売れる。三味線は猫の皮を使って作るから、三味線が売れるようになると、猫が減る。そうすると、ネズミを食べる猫が減ってしまって、ネズミが桶をかじってしまう。そうすると、桶を買い替える人が増えるから、桶屋が儲かる」です。
実際に風が吹いて桶屋が儲かるかどうかはわかりませんが、こういった一見無関係に見える物事同士を因果関係として結びつけるのも思考でしょう。
また、戦争と経営は似ている!と思うのも思考でしょう。この「似ている」によって、経営戦略論の扉が開かれたと思います。競合に対してどう優位性を持つか?はまさに戦争から着想を得ています。戦争に関しては人間は勝つためにいろいろと考えてきた。この知見を経営に活かすことができないのか?というのが、経営戦略論の端緒だと思います。
「芸術は爆発だ!」「時計が歪む!」「果物から虎が飛び出てくる!」といったわけのわからないインスピレーションもおそらくは思考でしょう。
この「論理と思考という、2つ概念は明らかに違うということ」は、伝わるでしょうか?
では、この本来別物の2つの概念を結び付けていわんとするところはなんなのでしょう?
おそらく、ビジネスに限定して言えば、「自分が考えたこと」が「他人に伝わるように」しましょう、ある程度の「正しさ」を持ちましょう、といったことなのだと思います。
アカデミックに捉えるとすると、環境に系を見出し、そこで再現可能な法則を見出し、人類の資産とするためなのですが、ビジネスではこういうふうに考える人は少ないと思います。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。