概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ
【図観】
・主に概念や本質を図化する
・図を通して本質を観る
・思考の深化目的
思考する者の腑に落ちる度合い・気づきの深さ・凝縮的な見せ方を重要視する
・ideographics=意味の図画
この両者の違いは、「よい表現」とはどんなものかの違いにもつながってきます。すなわち、「よい図解表現」というのは、だれもがわかりやすい図です。図を見る側に何か技術や教養といったものを要求しません。他方、「よい図観表現」というのは、必ずしも万人にわかりやすいとはかぎりません。先に紹介した九鬼周造の「いきの構造」図や、仏教が描くマンダラ・禅画はとても難解なもので、見る側にある程度の技術や教養を求めます。
複雑な事象が巧みにモデル化された図ほど、その人独自のやり方で裁断と凝縮が大胆に行われます。その裁断・凝縮された表現を、見る側は再び補ったり、解凍したり、引き伸ばしたりせねばなりませんが、そのための能力素地が必要になります。そのために、マンダラや禅画、抽象アートのように高度に意味が凝縮された表現ほど、ある人びとには荒唐無稽な絵と思われる一方、実に妙味のある表現だと言って感服する人も出てきます。
優れた概念図というのは、「less is more(より少ないことが、より多いこと)」です。図の作り手は物事の仕組みを「less」に凝縮する技を持っていなくてはなりません。そしてその図の読み手は「more」に咀嚼する目を持っていなくてはなりません。
そういった意味でコンセプチュアル思考が扱う「図観」は、万人へのわかりやすさを追求する図解とは異なっています。
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ビジネスパーソンのための新・思考リテラシー『コンセプチュアル思考』
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。