概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ
が、これではまだ練り足りない気がします。その「重い/軽い」の奥にあるものは何でしょうか。それは、動機の違いではないでしょうか。伝票処理をやる動機はさほど高尚なものではありません。単に処理しなければならないという労役的な動機です。それに比べ、途上国に病院をつくる仕事の底にあるのは使命的なものです。となると、軸としては「いたしかたなくやる動機/湧き上がってくる動機」を両極としてはどうだろうと考えつきます。
そして、その2つの基軸を立てて四角の枠を描いてみます。そこにさまざまな要素を配置していくと、仕事という概念の広がりを2軸平面上に表した図ができあがります。
また、ここでは図の補強として『3人のレンガ積み』の寓話を加えることもできます。寓話は次のようなものです。
中世ヨーロッパのとある町。建築現場で3人の男が働いていた。何をしているのか? と聞かれ、それぞれの男はこう答えた───
「レンガを積んでいる」。最初の男はつぶやいた。
2番目の男は「カネ(金)を稼いでいるのさ」と答えた。
そして、3番目の男は高く顔を上げて言った。「町の大聖堂を造っているんだ!」。
この3人の男はレンガを積むという同じ仕事をしています。しかし、おのおのの仕事観はまったく異なります。1番目の男はレンガ積みを単発の作業としてやっています。2番目の男は生活の糧を得るための稼業としてやっている。3番目の男はそれを使命としてやっている。彼らの仕事を図の平面においてみると下のようになります。
次回は、「仕事とは何か」を時間的な観点で図化する作例を取り上げます。
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ビジネスパーソンのための新・思考リテラシー『コンセプチュアル思考』
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。