経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
穴がニーズだったとしましょう。じゃあ、外科医をターゲットとして穴を開けられるというニーズを考えると、便益はきっと手術をする時に体に穴があけられるということなのでしょう。日曜大工をやりたい人がターゲットだったら、木材に穴をあけられて、家具が作れるということなのでしょう。
伝わりますでしょうか?
それでね、木材に穴をあけられて、家具が作れるドリルがあったとして、同じ便益でコストが5万円と10万円のものがあったら、コストが低いものの方が、価値が大きそうですよね。
価値は基本的に、便益とコストの二軸で考えることで、ポジショニングの違いを見ていく概念です。現実には同じ便益で値段が2倍違うケースは想定しにくいですが、イメージしやすくするための具体例です。
では、カメラを考えてみましょう。写真を取る、記録を写真で残すというニーズがあったとして、プロ写真家であれば、便益としてはハイクオリティな写真が撮れるということでしょうし、素人写真家であればただ記録として残せればいいということでしょう。
コストはプロ向けのカメラの方が高そうです。素人向けのカメラは安そうです。
しかし、素人も写真を撮り続けているとプロみたいな写真がとりたくなってくる。プロと同じような道具を使えば撮れるんじゃないかと淡い期待を抱きそうですよね。
そうすると、これまでのプロ向けカメラと素人向けカメラの便益とコストの中間をとったような商品が出てくるわけですよ。これが価値の分析というやつです。
ニーズ、便益、価値までわかりましたでしょうか?
上記の例で見ていくと、新商品はこれまでの商品と何が便益として違うか?というのを考えていくことになりそうですが、ぱっとしないものばかり出てくる状態になりがちです。アイポッドが出る以前のMP3プレーヤー市場とかね。
そこで、ポーター的にはCSVのフレームワークがいいよ!と言いたいわけです。
社会的価値、社会的便益、社会的ニーズを考えることで、すごく画期的な、ユニークな、バズワードっぽく言えばイノベーティブな商品が作りやすくなるというわけです。
商品開発の歴史みたいなものを考えると、似たような商品ばかりになってサチュレートしていくような感じの状態が成熟市場では往々にしてあるわけじゃないですか?それを打ち破るには発想の転換が必要なことは確かだと思います。そこで、社会的便益から考えるアプローチでこれまでの行き詰まりを吹き飛ばせるかもしれない、というのは確かに同意できます。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。