コンセプチュアル思考〈第8回〉 「私は何を売る職業人か」で自分を定義する

画像: Career Portrait Consulting

2016.04.20

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第8回〉 「私は何を売る職業人か」で自分を定義する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

たとえば、私はいま、企業に研修サービスを売ることを生業としていますが、自分を研修屋だとは定義しません。仕事の提供価値によって、自身を次のように定義しています。

 ・「私は仕事を通し〈向上意欲を刺激する学びの場〉を売っています」。
 ・「私は仕事を通し〈仕事とは何か? に対し目の前がパッと明るくなる理解〉
   を売っています」。
 ・「私はお客様に〈働くことに対する光と力〉を届ける職業人でありたい」。


◆提供価値という目的のもとに自由になる

私にとって研修サービスの実施は一つの手段にすぎません。上のような価値を提供するために、時には自己啓発の本を書くでしょうし、この記事のように概念工作家としてネット上に連載をすることもあります。「仕事とは何か」をわかりやすく理解させるためなら、マンガや小説を書いたっていいと思っています。

また事業形態にしても、個人事業でやる方法もあれば、株式会社でやる方法もあります。場合によってはNPOでやってもいいでしょう。ともかく、私が自身の仕事に対して与える最も重要な洞察は、いかに〈仕事とは何か?に対し目の前がパッと明るくなる理解〉を売る優れたプロフェッショナルになるかです。この意志的に抽象化された目的の下に、私は自由です。手段や方法はいくらでもあり、それを体現する働きざまや生きざまも固定して考える必要はありません。

コンセプチュアルに考える力を使って、自分という職業人の存在意義を提供価値で定義してみる。それは、「自分は何者である(ありたい)のか」「丸ごとの自分を使って何の価値を世に届けたいのか」を自問する作業になります。コンセプチュアル思考が「知・情・意」のうちの「意の思考」と呼ぶのはそういうところからです。


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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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