概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ
4つ目の「精錬」は、概念を研ぎ澄ませていくことです。例えば、ウォルト・ディズニーは「公園」という概念を精錬させて、「テーマパーク」というものをつくり出しました。また、ソニーは「カセットテープレコーダー」という概念を精錬させて「音楽を外に持ち出す再生専用機『ウォークマン』」という新しい概念を生み出しました。
本講義では、物事のとらえ方・コンセプトを精錬する方法として次の6つの方法を解説します。―――「1.結合・分離」「2.視点の移動・創出」「3.ものさし変更」「4.置き換え」「5.研ぎ澄まし」「6.喩え」。
最後の5番目が「意味化」です。「コンセプト|concept」とは、〈cept=受け取ること〉の語根が示すように、物事の本質を抽出し、それが何であるかをつかむことでした。物事から意味をつかむことほど難しいものはありません。
目の前の仕事から、どう意味や価値、使命を掘り起こせるのでしょう。あるいは、あなたが組織のリーダー・マネジャーであるなら、集団が共有すべき「ビジョン」や「クレド」「バリュー」といったものをどう描き掲げられるのでしょう。こういったところにもコンセプチュアルな思考力は求められます。
〈概括イメージ〉
コンセプチュアル思考を概括するイメージは「ハンモックモデル」です。
「抽象化」と「具体化」という2本の樹が左右に立っていて、そこに「概念化」というハンモックが掛かっている様子です。
ハンモックという網で包まれるのが「コンセプト(concept)」。「コンセプト」のおおもとの意味は「つかむ・内に取り込む」です。また、コンセプトは一応「概念」という訳語ですが、よくよく考えていくと、観念や信念、理念とつながっています。
図の上下には地面と太陽を描きました。「事象・経験・多」という地面では有象無象のことが起こっていて、ふと高く空を見上げれば「本質・理・一」ともいうべき太陽がさんさんと輝いている、そんな様子を示しています。
次回からは、いよいよ実践ワーク編です。引き続き「コンセプチュアル思考」の連載をお楽しみに!
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ビジネスパーソンのための新・思考リテラシー『コンセプチュアル思考』
2016.03.06
2016.03.14
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。