経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
つまり、意図したことが「大型バイクの販売」で、創発したことが「小型バイクでホンダの幹部が移動してたら耳目を引いて売れた」ということですね。創発的要素のお蔭でホンダは米国で成功した!とリソース重視派はよく言い、プランニング派を馬鹿にします。
それで、「これがどうアンブレラ戦略と関わるの?」と思いますよね。ごめんなさい。
再びイメージ画像のきれいなお姉さんを見てみましょう。
するとね、傘がトップマネジメントで傘の下のお姉さんが現場だと考えると、意図するのがトップマネジメントで創発するのが現場だと考えられますよね。傘がトップマネジメントでお姉さんが現場なのです。傘の言うことを聞くお姉さん?とよくよく考えてみるとなんだか怖いですが、気にせず進みましょう。
大所高所から見るべき物事もあるけれど、その方向の中で創発されてくるものも活かして進んでいこうよと言っています。現場が顧客と直接接していますから、顧客のことがよく分かる面もある。そこから出てくるアイデアもある。しかし、そのアイデアを取り込んだ戦略をトップマネジメントが立案するのは難しいのです。
だから、現場の自主性のもとに、自然に湧き上がってきたもの、いわゆる創発的なものも活かすために、アンブレラ戦略のアプローチを取ろうよ、ということです。
これだけだと薄っぺらいので、もう少し先に、もう少し深く行ってみましょう。
ミンツバーグは、意図した戦略と、意図されないものによってもたらされたものが混ざり合って、実際に動いている「戦略」があると考えます。
つまり、意図した内容と、実際に動いている内容は違う。
戦略はギリシア語で統制という意味から来ているわけですが、ミンツバーグ的には組織は統制してその通りになるというものでもない。
どうしても意図せざる要素が出てくる。混ざり合ってくる。
だから、結果をちゃんとモニタリングしていることが大事です。いわゆる「見える化」ですね。ちゃんと効果的にKPIを設定していないと、戦略の実行状況が全く見えなくなります。
そして、意図せざる部分が自社に都合よく出てきてほしい。それは、現場での創意工夫が大きく反映されているといいなあ、と思っているわけです。
日本企業は昔から現場の権限が強くて、現場は簡単には上の言うことを聞かない。「太鼓の達人」は役員会で企画が却下されたにも関わらず、現場は勝手に試作機を作ってプレゼンして通したものだというのはけっこう有名な逸話として聞きますよね。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。