経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
そして、ナンをナンだけで食べる人は少ないですよね。カレースープと合わせることで、美味しさが増加するわけです。ライスはいろいろなものと合わせられますが、ナンと同じくカレースープと合わせて美味しさが増加です。つまり、セットにしたほうがお互いが補いあって価値が上がってくるでしょう。
これを代替性と補完性で言えば、ナンとカレー、ライスとカレーは補完性が高く、ナンとライスは代替性が高いと言えます。
ここまで来ればわかりますよね。競合と戦うことばかり考えるのではなく、競合と補い合うことも考えないといけないし、競合にならない補い合えるだけの企業も存在するので、そういった企業とは仲良くしないといけない。
こういったことを踏まえた枠組みが戦略を作っていくためには必要で、3Cでは不足しているということです。
この要請に答えたのがバリューネットです。
自社を中心に書き、右側に補完的生産者、左側に競合を書きます。そして、上に顧客を書いて下にサプライヤーを書いて、ちょうど、自社を中心としたひし形が出来上がります。自社の事業で扱う財でも真ん中に書きこめば、何が競合で何が補完的生産者かがわかってくるし、サプライヤー、顧客との関係の中で、何が自社の付加価値を増加させ、何が自社の付加価値を減少させるのかがわかります。
それって、バリューチェーンとファイブフォースの同時分析みたいなものですか?という突っ込みが来そうですね。しかし、バリューチェーンとファイブフォースの同時分析を使いこなすことは常人にはほぼ不可能です。完全競争市場をベースとした代替性分析による業界の収益の保守的なありようを捉える枠組みと補完性を中心として価値連鎖を捉える枠組みを巨大な情報量でやるとか、普通は無理ですね。多くの「コンサルタント」も理解していないでしょう・・・。
しかし、今回は3Cは卒業してバリューネットに移行しましょうというところにフォーカスして先に進みましょう。ステップバイステップです。徐々にわかるようになればいいのです。
当然、3Cも「3C+C」といって、チャネル要素を加えてみたり、「3C+P」と言って、補完的生産者を加えて考える拡張が試みられてきました。でも、そもそも「我々は競合と顧客の支持を争う競争をしているんだ!」ということを表現するための枠組みですからね・・・。そうじゃないんです。
「我々は自社の付加価値を最大化するんだ!」と考えた時、バリューネットの枠組みが見えてくるのです。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。