高齢期に幸福度が高まる理由は?
5.発達理論(精神的成長による幸福)
高齢者が幸福なのは、「仕事や役割に執着せず、引退を受け入れる」「身体的健康に執着せず、衰えを受け入れる」「死に対しても、逃れられないものとしてそれを受け入れる」という精神的に高次の段階に至るからである。
6.老年的超越理論(精神的超越による幸福)
高齢者は、まず身体的・社会的な限界が出来るのを受容する。さらに、死に対する恐怖ではなく、生と死について新しい認識を持ち、利己主義から利他主義へ移行し、人間関係における深い意味を見出す。このような超越的次元に移行することで、幸福感を維持する。
これらの中に、次世代、若手世代のビジネスパーソンが学べる点は、多くあります。私たちは、どのようにすれば幸福で、やる気や活力に満ちて働くことができるのか。
1、2、3では、高齢者が定年・引退するような劇的な環境変化を得るのは難しいとしても、不得意や短所でなく得意や長所に焦点を当てる、あるいは自分のやりたい活動や特徴、強みが活かせる役割を見出すことの重要性が分かります。4では、現実的・合理的な目標を立て、かつ、その達成にこだわり過ぎない、また、達成できなかったとしてもその事実を柔軟に、前向きに捉えるのが大切だと理解できます。5と6は、全てを受け入れ、広く深い視点・思考によって物事を捉えること。私たちにはまだまだ難しいとしても、いつまでも成長意欲を持ち(すなわち未熟を自覚し)、精神的な高みをそれぞれが自分なりに目指すべきなのでしょう。
幸福を感じて働く方法は、高齢者に学べばよいのです。
組織というもの
2015.08.07
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2020.07.11
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。