アルバイトといえば学生の小遣い稼ぎで、あまり当てにできない戦力。これは昔の常識。今や飲食業・サービス業を中心に多くの現場オペレーションに組み込まれており、無くてはならない存在となっているのが実態である。しかし学生の法的無知や優しさに付け込んで、とんでもない働かせ方をして恥じない連中がいるのも事実だ。彼らに対処すべきは、学生の味方である大学の事務局である。
これはもちろん必要かつ有用だと思う。しかし約1年前の文科省の文書が効果を発揮していないことは、今年になってもブラックバイト問題が収まらないどころかますます広がっていることからも明らかだ。
では効果的な打ち手は何で、誰が動くべきだろう。第一義的には、大学の事務局だと考える。なぜ大学か?学生の味方は大学なのだから。そしてそもそも大学の授業料の高騰が原因の一端にあることを自覚したら、「それは役所に相談してください」などの逃げ口上は出ないはずだ。
学生からの相談を受け付けて親身になって相談し、毅然とした態度を執るように指導することが最低限、必要だ。そして場合によっては事務局スタッフが相手企業に(まずは電話した上でだが、相手が曖昧な態度を執るなら)乗り込んで抗議し、それでも埒が明かないなら裁判に訴えてでも白黒をつけようという態度を見せるべきだ。
この点に関し、「それはまず親がすべきじゃないか」という意見があろう。自宅から通っているごく普通の学生については小生もそう思う。まず親が相談を受けて、助言し、抗議すべきだ。
しかしこうしたブラックバイトの被害に遭う学生の多くは往々にして、仕送りをしてくれる親に心配を掛けたくない地方出身の学生だという。ならば離れて住む親が、我が子がこうした事態に苦悩している事実さえ知ることは、現実的には難しい。
また自宅通学の学生でも、経済的理由による極端な多忙や他の子どもの養育などの理由で親が子供の相談に応ずる余裕がないことも十分に考えられる。そんな親に相談できないからといって学生を突き放すことは理不尽だろう。
したがって彼らが学業を第一に没頭できる環境に近づけるようサポートする義務かつ現実的可能性を持つのは大学、しかも事務局ではないか(世間知らずが多いとされる大学教員を頼ることは筋違いだろう)。
改めて乞う。大学事務局諸氏には、ニッポンの明日を背負う若者をブラックバイト企業の毒牙から守るため、是非立ち上がって欲しい。言い換えれば、こうしたイシューへの対応次第で、親はその大学の実力と覚悟を評価するのだ、と肝に銘じて欲しい。
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
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