新規事業に関するアプローチの違いは一般ビジネスパーソンには分かりにくいのが現実だろう。例えばブルー・オーシャン戦略に代表される「新カテゴリー創出アプローチ」と「ビジネスモデル開発アプローチ」とはどう違うのか?
逆にビジネスモデルとしては新規ではあっても、商品・サービスのカテゴリーとしては既存のままというケースも多く存在する。例えば製造アパレルのSPAというビジネスモデルにおいて提供される商品の大半は、伝統的なアパレルと同じカテゴリーである。またBuilt-to-orderという直販ビジネスモデルで有名なデル・コンピュータの商品もまた既存競合と同じカテゴリーである。これを便宜上、「ビジネスモデル開発アプローチ」と称して「“From Scratch” アプローチ」と区別している。
つまり「新カテゴリー創出アプローチ」と「ビジネスモデル開発アプローチ」は「既存市場の有無」と「ビジネスモデルの新奇性」という軸で見たときには対照的なのだ。
加えて、どちらの軸で新規事業を考えるかの戦略発想の出発点が真逆だ。
「新カテゴリー創出アプローチ」では新しいカテゴリーの事業を成立させるために戦略キャンバス上で価値軸、すなわちどの顧客価値に重点を置くか、その優先や差別化をどう変えるかを検討するのが、思考の中心である。
それに対し「ビジネスモデル開発アプローチ」では、ビジネスモデルを変えることで顧客提供価値が変わることを初めから狙う。例えば、既存のバリューチェーンを分断して一部にフォーカスしてみる、収益モデルとしてフリーモデルを採用できないか検討してみる、等々。
もう一つ意外に知られていないが、両者の大きな違いは「戦略仮説に対する検証」に関する考え方である。
「新カテゴリー創出アプローチ」では既存商品カテゴリーではないため通常の顧客を対象とした仮説検証法が機能しないことが多い。そのため新しいもの好きな先進顧客と協創しながら商品開発することが有効とされる。実地の限定市場に出しての検証もうまくやらないと「何それ?」で理解されないまま終わってしまう。
ブルー・オーシャン戦略ではより極端で、新カテゴリーでの市場制圧を意図するため、限定されたマーケットでの試行、というようなオーソドクスな検証方法は原則として取らないとされる。
それに対し「ビジネスモデル開発アプローチ」においては机上でのシミュレーションだけではなく、必ずといっていいほど限定マーケットまたは限定商品での試行を行い、それで修正しながら事業拡大を目指す。新しいビジネスモデルが機能するかどうか、深刻な問題が派生しないかどうかは試行してみないと分からないからである。
「“From Scratch” アプローチ」では、この2つのアプローチの面倒な部分を併せ持つ。すなわち、既存商品カテゴリーではないため通常の顧客を対象とした仮説検証法が機能しないので、先進顧客を相手に「ニーズとマッチしているか」の、早い段階での検証が何度も必要になる。
その上に、新しいビジネスモデルが機能するかどうか、深刻な問題が派生しないかどうかも試行してみないと分からないので、限定マーケットまたは限定商品での試行もまた不可欠となるが、カテゴリーも新規なため理解されないまま終わらないよう、対象ユーザーにはよほどうまく価値を伝える必要がある。
(本記事は2012年12月6日に掲載されたものを再編集しております)
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
