サービスは「目に見えない」「利用してみないと分からない」という特徴があります。そのために不安や不満を感じることが多いのではないでしょうか?今回は「目に見えないサービスを見せる」ことに着目してみました。サービスを見せるとはどういうことなのか?どんな効果を発揮するのか?考えてみたいといます。
4.サービスの裏側をあえて見せる
サービスにはお客様に見えている部分の裏側に「見せないように隠している部分」が存在します。それをあえて見せることで差別化をしているケースが増えてきました。よくあるのが、料理店で厨房での料理の様子を見えるようにするというものです。厨房からの音・炎・匂いが、料理への期待を高め、料理を待つ時間自体を楽しめるように演出してくれています。このように、普段見えない部分が見えることでお客様に安心して頂いたり、楽しんで頂けるような演出をするというのはサービスを差別化する上で非常に効果的だと思います。
最近では、自動車のディーラーで自分の車の整備風景を見せたり、スイーツ店の待ち行列ができる店頭部分をガラス張りにして製造工程を見て楽しんでもらうなど、サービスの裏側を見せる取り組みが増えてきています。
また、機器の保守会社では、機器トラブルが起きたお客様に、担当エンジニアの現状をWEBで公開しています。現在位置や何をしているのかを公開することで、なぜ自分が待たされているのか?いつまで待てばよいのかを見せて、トラブルが発生して焦っているお客様に安心して待って頂くといった取り組みをされている先進的な企業もあります。
サービスの裏側を見せるのは勇気がいりますが、魅力的な見せ方ができれば大きな差別化になるかもしれません。
■サービスを見せてみよう!
これまで見てきたように、サービスは「目に見えない」、「受けてみないと分からない」という特徴があります。だからこそサービスを見せることで、サービスを受けたい気になってもらったり、サービスを安心して利用して頂いたり、更には満足感を高める効果も期待できます。このように、「サービスが見えること」は、それ自体がサービスの差別化のひとつになるんですね。
しかしながら一方で、「サービスを見せる」のは大変チャレンジングな面もあります。これまではお客様から見えなかった部分や、お客様と接点がなかったプロセスをお客様から見えるようにするとなれば、見られるスタッフ側も「サービスを魅せる」「プロセスで魅せる」というサービスマインドの強化が必要になってきます。また、サービスのしくみやプロセスが組織として統制が取れていないと、見せることが逆効果にもなりかねません。
そこで先ずは、組織全体で「サービスやCSの本質の理解」をした上で「サービス品質の向上」や「サービス設計」をしっかりと行うことが成功へのカギになりそうですね。いずれにしても、サービスをどう見せるかについては、自社サービスのコンセプトとお客様の事前期待の両面を意識して工夫することが基点になるのだと思います。そんな視点でサービスを見せることに挑戦してみて頂いて、少しでも成果に繋げて頂けると嬉しいです。
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サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新